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来場者からは「もう一日が終わっちまうのか~」なんていう声も漏れ聴こえていたけれど、まだこの男達が終わらせない。KREVAのステージにMCUとLITTLEが迎えられたこともあった。しかし、KICK THE CAN CREW名義でのステージは実に10年ぶり。スモーク&火柱のド派手なカウントダウンののち、響き渡るこの華やかなトラックは……“マルシェ”だ! 大歓声を浴びて思い思いに純白の衣装を纏い、まるで時間を一跨ぎにしてしまうような、あのキャラ立ち3本マイクのめくるめくリレーが始まる。《誰も置いてかない こっちの世界も覗いてかない?》《上がってんの? 下がってんの? 皆はっきり言っとけ!》。みんな、もう答えは知っているだろう。

続いて“地球ブルース~337~”を賑々しく繰り出すと、「すっげえ人だ! 今なら出来る! KREVAです!」「LITTLEです!」「MCUです!」「3人合わせて!」「KICK THE CAN CREWです!!」と、どこかで聞いたような名乗りを上げる。KREVAは「言っても、そんなに知ってる曲とか無いと思うぜ。でも大丈夫。知らない曲でも、楽しませる自信はある」と告げて喝采を浴び、メジャー・デビュー曲“スーパーオリジナル”、そしてオーディエンスの間の手がまた凄まじい“カンケリ01”とクラシックを連発していった。熊井吾郎の2枚使いDJを説明しながら「この大きなステージで、またこの曲をやってみたい」と披露される“GOOD TIME!”に続いては、「あの人達、イケイケどんどん馬鹿なんだって思われたらどう?(KREVA)」「心外だね!(LITTLE)」と披露されるのは、憂いと哀愁を帯びて陽の落ちたGRASS STAGEを包み込む“ユートピア”だ。繊細な感情表現を描き出すラップもまた、KICK THE CAN CREWの大切な魅力のひとつである。

「今、みんなが知ってる曲ってそんなにないじゃないですか」と強気に告げるKREVAは、ここから名曲を連発することを宣言して2人と共に“sayonara sayonara”のじわりと燃え上がるエモーションを放つ。「みんな割と知ってた? 良かった~。もう俺たちがサヨナラサヨナラでいいんじゃないの?(KREVA)」「いや、KREVA……《まだ何も終わっちゃいないぜ》!!(LITTLE)」という絶妙な掛け合いで大歓声を巻き起こすのはもちろん“イツナロウバ”だ。レーザーも飛び交って今まさに最高潮というところに、これでもかと畳み掛けられるのは“アンバランス”。懐メロならぬ懐ラップ、かもしれない。でも、リレーの鮮やかさといい、ユニゾンのドンピシャリ具合といい、やっぱりこの3人が1つのグループにいるって、改めてとんでもない事実だ。

アンコールでは、雪が降り注ぐようなCGアニメーションを背景に、ダウンジャケットを着込んだ3人が“クリスマス・イブRap”を届けてくれる。一見ふざけているようでも、季節外れな有名曲をやるためのガッツが凄い。そしてここまで、ラップ以外で喋ることのなかったMCUは、「始まる前の緊張が嘘のようです。みんなに助けられました。ありがとうー!」と挨拶し、最後にドリーミーなトラックに乗せて放たれたのは“タカオニ2000”だ。《だって俺らは現在進行形!》のヴァースどおり、2014年のKICK THE CAN CREWは、およそ考えられ得る最高のステージを見せてくれたのだった。(小池宏和)





この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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