「今年も残り２時間になりましたねえ！ 行くぞマクハリャァァァー!!」と、清水 依与吏（Vo&G）によるもの凄いヴォルテージの第一声でスタートした、back numberのステージ。堰を切ったように溢れ出す、サポート・メンバー含め総勢６名のサウンドと歌。そこに目を見張るような瞬発力で、手を打ち鳴らしながら食らいついてゆくオーディエンスの姿がヤバい。“海岸通り”から“半透明人間”と、清水自身が告げていたように年の暮れも暮れということを忘れさせてしまうようなエモーショナルな楽曲が鳴らされる。
「こんな年末の、31日とかに、みんなライヴとか来て大丈夫？ 家族的なこととか。仲良くしてる？」と息を切らしながら気遣う清水だったが、「いやでも、来てくれて本当にありがとう。次はちょっとあったかい歌です」と表情に喜びを滲ませながら、今度は“日曜日”に向かってゆく。発光するようなキラキラとしたサウンドがフロアいっぱいを満たしていく。その後は“わたがし”、そして“エンディング”と、最新アルバム『blues』に収められた胸を揺さぶるナンバーが続く。余韻を残すバンド・サウンドと重なるように、盛大な拍手がどこからともなく湧き上がる。
「仕事なんかしてなくたってさ、別にいいと思うんだよ……いや、俺はしてるけど（笑）。仕事なんてしてたってしてなくたって、夢なんてあったってなくたって、別にいいと思うんだよ。ただ、考えること、葛藤することだけは、やめない方がいいんだと思います。“青い春”」。そして清水は、自らの内面から溢れ出る葛藤をメロディに乗せて走らせた。時代に迷いながら、それでも自らの思考で自らの答えを探り当てようとすること。そのとき初めて、真の意味で時代は移り変わる。「このまま待ってても新しい年はやって来るけど、どうせなら自分たちで、2013年を迎えに行ってみませんか、幕張のみなさん!!」と荒ぶるようなトーンの呼び掛けを最後まで押し通しながら、辿り着いたクライマックスは“スーパースターになったら”だ。飽くまでも自らの手に時代を引き寄せる。そんな意志で全編が貫かれた、back numberの2012年を締めくくる見事なステージだった。（小池宏和）
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