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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート


少し緊張した表情を浮かべつつ、Tシャツ姿でステージに登場した渋沢葉。「1、2、3、4」と小さくささやいて1曲目の“ARE YOU PANPI?”をスタートすると、MOON STAGE中のオーディエンスがその歌声に圧倒された。どす黒い怒りをはらんだヒリヒリとした叫びに、どうしようもなく心が掻きむしられ、囚われてしまう。フロアの熱気を切り裂くような不穏なギターノイズから始まる“世俗的狡智”でのハスキーな歌声にも、たった20日前に東京・代官山UNITで初めてのワンマンライヴを行ったばかりの新人シンガーとは思えないほどの凄みを帯びている。オーディエンスも心底圧倒されたようにして彼女のステージに釘付けになっていた。へヴィなバンドアンサンブルを持った新曲“サイドバック”をはさみ、「こんばんは、初めまして、渋沢葉です。今日は短い間ですが、皆さん楽しんで行ってください」と短く挨拶。続く“祈り”では一転し、しっとりとスモーキーで迫力ある歌声を響かせ、フロアをどっぷりと包み込んでいく。渋沢葉の表情豊かなヴォーカルに吸い寄せられるように、MOON STAGEにはどんどん人が集まってくる。

「ここでメンバー紹介をさせてください」と菊地英二(Dr:BIG BITES/ex.THE YELLOW MONKEY)、三浦淳悟(B:ペトロールズ)、菅原潤子(G)の豪華メンバーからなるバンドのメンバーを一人ずつ紹介して行く渋沢葉。なぜか分からないが口を押さえて笑いをこらえているのがちょっと微笑ましい。 “ダーリン”ではフロアをじっくりと見つめながら、切迫感に満ちた歌声を響かせ、ラストの“破壊BOSSジャム聖飢魔Ⅱメイク”では真紅のライトに照らされながら感情を激しく炸裂させるように歌い、オーディエンスを渋沢葉の歌世界にどっぷりと引きずり込んだ。最後は体を折り曲げてキーボードを激しくかき鳴らし、フロアに手を振りながら駆け足でステージを去った彼女。胸をかきむしるような、心のヒダに絡み付くような彼女の粘度の高い歌は、きっと集まったオーディエンスの胸に鮮明な衝撃をもたらしたことだろう。(大山貴弘)