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前アクトの銀杏ボーイズが巻き起こした狂乱の嵐のせいもあって、登場が予定から少し遅れている。レイク・ステージに集まったみんなの前では、ターンテーブルのみならずギターのサウンドチェックが進行中である。…これは、ひょっとすると誰かロックな人の飛び入りもあるのだろうか? そんな期待をはらんだ空気に、午後から強まった風が少しは涼しさを運んでくれるようになった。白いパーカーのフードをかぶったままようやく登場したDJ JINがターンテーブルに針を落し、“JIN's ROOM”でパーティの始まりを宣言!! 続いて宇多丸とMummy-Dが登場、“スタンバイ・チューン”で軽く場内をあっためて…って、早くもみんなノリノリだ! ヒップホップに揺るぎないアイデンティティの核を据えながらのさまざまな活動で、すでに10年目を迎えた彼ら。“ライムスターイズインザハウス”で自己紹介も完了、フリースタイルのMCがキレまくっている。朴訥なロックのMCもいいけど、エンターテイナーってこういうことだろ? そういう気負いも照れもない独自の芸に盛り上がりのスピードが増していく。
そして次はまさかの傑作“肉体関係part2”!! クレイジーケンバンドの曲を完全に乗りこなし、まれに見る大人のセクシャル・ラップ・チューンにしてしまったこの曲に、みんなが手を大きく左右に振って応えている…そして「言えよセーックス!!」という今回のフェスでも1、2を争うパンツを脱ぎ捨てたムキ出しのコール・アンド・レスポンスにみんなが全力で応える。なんなんだこのグルーヴ。最高だ! 最高のパーティだ!
続いて期待に応える最初のゲストとして現れたのはスーパーバタードッグの竹内朋康! 生のギター・リフで“ザ・グレート・アマチュアリズム”が爆発する。フェスという特殊な空間で体験できる、この上ない贅沢な瞬間が場内を包んでいる。いったいどこまで上がっていくのだろうか…と思っていると、同じくスーパーバタードッグのベーシスト・TOMOHIKOをステージに招き、始まったのは“キング オブ ステージ”!! 「今日の選曲はいつもの俺らで言えば、アンコールだけをやってるような感じだから!  もう、足し算しかしませんよ!」という宇多丸の言葉に偽りはなく、見たこともないようなエンジン全開の選曲である。 宇多丸と竹内が向かい合ってジャンプしながらギターのリフと淀みない"フロウ"を正面衝突させていく。ただでさえオールド・スクールっぽい宇多丸とMummy-Dの掛け合いのパワーが2倍にも3倍にも倍増していくのがわかる。
さらにさらに、ここで永積タカシが登場とあれば、『ウワサの伴奏』のあの曲、“This Y’all,That Y’all”が炸裂だ! 永積のソウルフルなヴォーカルが加わった全員のアンサンブルに気づけばレイク・ステージほぼ満員、である。最後の曲は“WELCOME2MYROOM”、全部で8曲やったけど、5分くらいに思えたな…。
「俺たちの思ったとおり、ここはやっぱりホームでしたよ!」 その言葉を真実にしてしまったのは、圧巻のステージングを見せ付け、あっという間に場内全体を巻き込んでしまった彼ら自身の力である。リスペクト! (松村耕太朗)

1. JIN's ROOM
2. スタンバイ・チューン
3. ライムスターイズインザハウス
4. 肉体関係part2
5. ザ・グレート・アマチュアリズム
6. キング オブ ステージ
7. This Y’all, That Y’ all
8. WELCOME2MYROOM