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3日目のCOSMO STAGEのトップバッターを飾ったのはandrop。「a・n・d・r・o・p」という6つのアルファベットがランダムに囁かれる幻想的なSEにのって彼らが現れた瞬間、フロアから大音量の拍手と歓声! それもそのはず、つい先日まで彼らのプロフィールは幾何学調のアーティスト・ロゴのみが公開されていただけで、メンバー構成、その他諸々が謎に包まれていた彼らの姿を視認することができるのは、数少ないライブ出演時のみだった。そして何よりも、そんな飛び道具的な話題性を抜きにして、ロックとポップの融合が奇跡のバランスで成り立っている彼らの曲は素晴らしいのである。だからこの状況は、彼らのことをちょっとでも知っている人からすると至極当然の結果なのだ。とにかく、今後のシーンを間違いなく担っていくであろう、非常に期待度が高いバンドなのだ。まずは何度も転調を繰り返しながら進んでいく"Colorful"で会場の温度をじわじわと上昇させて、「楽しみましょう!」という挨拶から披露された"Nam(a)e"では、内澤(Vo/G)のファルセットがどこまでも伸びやかにCOSMO STAGEを満たしていく。その後も"Halo"、"Glider"というようなアップナンバーを連射して会場を揺らし、「1バンド目です。……すごい眺めですね。CDJは初めてで、本当に嬉しく思います。今日一日最後まで怪我の無いように楽しみましょう。後半戦ですね。僕ら一生懸命演奏しますので、最後までよろしくお願いします」という内澤の爽やかなMCから、「まだまだいけますかー!」というアジテーションと共に"Roots"へ。次の"Traveler"では、90~00年代の日本の音楽シーンの中で純粋培養されて育った、繊細さと潔癖性をたたえた内澤のポップ・センスが瑞々しい輝きを放つ。ラストは「今年のandrop、最後はこの曲で終わりたいと思います」というMCからの"Image Word"へ。人を傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。それでも、誰かと繋がりたい。ロックとポップの化学反応を信じ、純粋な想いを叫び続けたandropの願いは、COSMO STAGEを埋め尽くした多くのオーディエンスに確かに届いたはずだ。(前島耕)