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去年に続き2年連続出演の間々田優。いきなりカツラをかぶって登場、“アイドル”を歌ってステージを踊りまわる。もっとも、そのあいだには「お前ら、夜に向けて温存しようとか思ってんじゃねえだろうなー!」と叫んだりもするわけだが。かくして強烈な先制パンチを浴びせれば、もはやMOON STAGEは彼女の世界観にどっぷりである。深い深い闇のなかから思いの洪水があふれ出すような“真夜中”で一心不乱にギターをかき鳴らし声を嗄らさんばかりに絶叫する間々田の姿は、目をそらすことを許さない迫力を宿す。「1年の終わりにみなさんと会えたことを嬉しく思います。みなさん、がんばってここまで来てくださってありがとうございます」。「普通のこと」と言いながらさりげなく「生きることの本質的なしんどさ」を言葉にし、“ニュース”では自分を「COUNTDOWN JAPANの会場に人質(観客)と立てこもった詐欺犯」にたとえ、あるいは「このお祭りが終わったあと、みなさんに帰れる家がありますように」と優しく語りかけて“HOME SWEET HOME”を歌う。あらゆる方向に飛び散る感情のかけらが、そこかしこで爆発している。「あなた」との再会を約束するラスト・ソング“夕”が鳴り止むまで、ステージの上でむき出しの魂は震え続けていた。(小川智宏)