【知りたい】Age Factoryの轟音は今の時代の何を問い正すのか?

【知りたい】Age Factoryの轟音は今の時代の何を問い正すのか?
Age Factoryのライブを初めて観た時、自分の弱さを見透かされた気持ちになったことを憶えている。清水エイスケ(Vo・G)の鋭い眼光と無骨さ、背中まで伸びた髪の先まで躍動する西口直人(B・Cho)のプレイ、増子央人(Dr・Cho)の心身の全エネルギーを込めたパワフルなドラミングからは、20代半ばの若さ漲る青き衝動というよりは「怒り」、「悟り」にも似た硬質で鋭い激情が迸っていたし、その覇気を脳天からつま先までガツンと受けた。そして彼らの曲とライブからは「俺はこうだ。お前はどうだ?」と真意を問うてくるような、己に対する絶対的な自信と執念をそこで感じたのだった。

Age Factoryは、清水が高校1年生だった2010年4月に結成された3ピースバンド。2014年にデビューミニアルバム『手を振る』を発表して以降、2015年に2ndミニアルバム『NOHARA』、2016年にはLOSTAGEの五味岳久をプロデューサーに迎えた1stフルアルバム『LOVE』、2017年に3rdミニアルバム『RIVER』、そして今年10月に2ndフルアルバム『GOLD』とコンスタントにリリースを続けながら、現在も地元・奈良を中心に全国各所でライブを行っている。前述したような鋭く研がれた精神を持ち、時に怒号のような激しさを持った轟音で聴く者の心身を共に圧倒し、時に哀愁深く優しくもどこか憂いたような楽曲を生み出しながら、前へ倣え的な生温い時代への反骨精神にも似たハードな魂が宿るサウンドを世に放っている。そんな彼らの楽曲にはわかり易い励ましや自身への鼓舞するような言葉はなく、どちらかと言えば詩的とも言える言葉や情景描写が並んでいて、その選び方の美しさや滲む侘しさが聴く者の感受性を否応なく刺激する。

自分の抱く想いを誰かと共有できた時の安心感は確かにあって、リスナーとのそういった心的な近さを求めて音楽を作り鳴らしているアーティストも多くいるし、その近しい距離感に安堵することは勿論ある。けれど、ライブハウスから一歩出たりイヤホンやヘッドホンを外したりしてしまえば、そこに居るのは自分ただ一人だ。ひとりであることを寂しく思いながら「自分は孤独だ」と嘆き悲しむことと、「自分は孤独だ」と思いながら誇らしげに自分の思う理想を追い続けるのとでは全く訳が違う。Age Factoryの音楽には後者の想いが圧倒的に強く宿っていて、彼らのそういったスタンスには憧れにも似た気持ちを抱く。ストレートな音楽愛が溢れる『LOVE』、風潮や流行に抗いながらでも自分の進みたい流れを作り上げてやるという意志を感じる『RIVER』、そして最新作『GOLD』はこれまでの「愛」と「意志」を確固たる地盤としながら、さらに遠くへ走る為の逞しい脚力を得た彼らの自信が漲っている。その脚を焦がすほどに焼けた己が進むべく道が放つジリつく熱と、時代の流れを恐れず走る彼らの頬を優しく撫でるような向かい風の双方を『GOLD』からは感じるし、彼らは脇目も振らずにひたすら真っ直ぐに進んでいくことだけを考えているのだろう。

Age Factoryという名を掲げた彼らが牽引する時代を作り上げる時、私はライブハウスで拳を振り上げ歓迎したい。そしてそれはきっと遠い未来ではないはずだ。(峯岸利恵)

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