初期の楽曲から最新ミニアルバム『Whisper of the heart』まで、クレナズムのこれまでの歩みをひとつひとつ巡るようなセットリストで、初めて生で聴く曲もあり「クレナズムってこんな表情もできるんだ」と嬉しい発見もあった。
やわらかく伸びやかな萌映の歌声は、轟音の中では音を縫うように響き、物語をひとつにまとめ上げる表現力と力強いエネルギーを感じさせた。ライブではクレナズムが紡ぐ日々の物語に飛び込めるからこそ、そこには共感があり、自分の日常もまた違った色で見えてくる。
MCでは「昨日なにたべた？」とカジュアルに話していたが「名古屋から車で東京についたのが深夜で……」とタフな一面もみせつつ、バンドの朗らかな雰囲気によって会場全体が、ほんわかな温かい雰囲気につつまれて和んだ。その後にバンドサウンドを轟音で響かせ、雰囲気をガラっと変えても、クレナズムというバンドの軸はブレず、物語を語り続ける。そんな、情緒をぶん回されながらも、クレナズムという物語を堪能できる贅沢なライブだった。
MCで、春のツアー開催も発表。台湾での公演も含む、全５公演。早めに観ておいたほうがいいかも。（前田侑希）
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