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向井×星野のインナーな歌世界で心身ともにじっくりと柔らかくした後は、打って変ってのジャンプ・タイム! そう、今や世界ツアーも果敢に実現する大阪が誇るメロディック・パンク・バンド、GOOD4NOTHINGの登場だ。ゲストに招くのは、昭和の時代にお茶の間にロックを浸透させた偉大なる先達・世良公則。そしてシカゴ生まれにして日本の音楽に心酔し、日本の曲のカヴァーアルバムまで作ってしまった愛すべきアメリカン・ロッカー、スコット・マーフィーの二人。


彼らがどんな絡みを見せるのか、こちらの気持ちもついつい先走るが、まずは何よりフェスの舞台を大の得意とするのがGOOD4NOTHING。“RIGHT NOW”を皮切りに十八番のスピード・ナンバーを連発し、一気に場の温度を上げていく流れからスタート。「いくぞ!」とオーディエンスを煽るU‐tanのたたずまいも勇ましい一方、大の世良公則フリークとして今回のキーマンとなったTANNYは当然のように世良にちなんだバンダナ姿で跳びまくる。

その調子で4曲立て続けに演奏し、すっかり場内を汗みどろのライヴハウスらしい風景に塗り替えたところで、U‐tanがようやく簡単な挨拶。「初参戦なんでよろしく。みんな思い切り笑って帰ろうな。」と語り、早くも根っからのパーティー気質を全開にしてみせる。そのまま、彼らのナンバーの中でも最もアグレッシヴな楽曲の一つ“Maximize”を投下し、一切休むことなく更にヴォルテージを上げていくあたりには、ちょっと生き急ぎな気がしないでもないが、これは言うまでもなくゲスト・アーティスト・コーナーに、ある意味、誰よりも彼ら自身が期待しているからに他ならない。


スピード・ナンバーの連発で駆け抜けるように前半戦をかっ飛ばし、場内の熱気を充分過ぎるまで上げたところで、いよいよ最初のゲスト・アーティストを呼び込む時間が。U‐tanが「今日のためにシカゴからやってきてくれました」と叫べば、TANNYが「スコット・マーフィーが歌うぜ It’s My Paradise!」と曲を紹介する流れも心地よく、いかにもアメリカ的な華やかなイントロが場内に響き出せば、中央のマイクに歩みよったスコットの長い手足も俄然リズミカルに動き出す。


そして2曲目に登場したのは長淵剛の“乾杯”。スコットもアルバムでカヴァーしているのだが、ややテンポを落とした骨太なビートに乗せて「君に幸せあれ!」とイントネーションも正確な日本語で歌うスコットの歌いっぷりを観ていると、この人本当に日本の泣きメロディーが好きなんだな、と今更ながらに思い知ることとなる。

そして、続いてのゲスト・アーティストを呼び込む時間になると、おもむろに緊張していることがわかる4人の微笑ましさと好対照に、世良公則が貫録もたっぷりにゆっくりと登場。頭にはおなじみのバンダナ、そしてタイトなスリムジーンズが似合う姿は、往年とまったく変わっていないからすごい。


思わず、「カッコええ~」と漏らすTANNY。なんでも、彼のお父さんは息子がバンドをやることに反対し続けていたそうだが「初めて、親父に“ようやった”と言ってもらえました」と彼のエピソード話も尽きることなく、こみ上げる思いにいよいよ始まるセッションへの期待は一層高まっていく。

そして始まった世良公則との1曲目は、ロックなギター・リフと扇情的な歌謡メロディーが合体した、世良公則の何たるかを如実に示すヒット曲“銃爪(ひきがね)”。世良の冒頭のシャウト一発「あいそづかしの言葉が!」のド迫力に場内からは思わず感嘆混じりの声援が上がる。大御所との共演に失礼の無いようにと演奏が実に丁寧なGOOD4NOTHINGの4人の生真面目さと、白いマイクスタンドを自由自在に操るだけでなく、一挙手一投足までキメキメで攻めまくる世良公則のスター感とのコントラストも妙に可笑しい。


そしてラスト・ナンバーとしてダメ押しのように用意されたのは世良公則のアッパー曲の中でも定番中の定番“燃えろいい女”。ここでも世良のドがつくくらいの迫力ヴォーカルがすさまじく、マイクスタンドを宙高く放りあげてはジャストなタイミングでキャッチしそのまま歌いだすアクションに、曲を知らない若いオーディエンスも大声援で応える。

曲を終えたふりをしながら、唐突にまたしてもサビから歌いだすというフェイント技を延々3回も繰り返す荒業に場内を大爆笑させたまま、お見事過ぎるステージは熱狂渦巻いたままに幕を閉じた。(小池清彦)

◆GOOD4NOTHING
ゲスト・アーティスト:世良公則/スコット・マーフィー

1. RIGHT NOW
2. J.C
3. MxSxN
4. HELLO61
5. Maximize
6. Perfect Future
7. Stick With Yourself
8. Cause You’re Alive

with スコット・マーフィー
9. It’s My Paradise
10. 乾杯

with 世良公則
11. 銃爪
12. 燃えろいい女