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ステージ向かって左にベース田中秀幸、中央奥にドラム津波秀樹、その手前にイスに腰掛けたギター山内憲介、右端に左を向いたヴォーカル&ギター成山剛、というフォーメーション。そして、「札幌から来ましたsleepy.abです、よろしくお願いします」という、小声で早口な成山のひとことで、1曲目“メロディ”が始まった途端。MOON STAGEが、違う世界にワープしてしまった。透明。きれい。ひんやり。静謐。そんな言葉で形容したくなる世界。で、ちょっと狂気で、なんか怖い。一瞬、「ああ、洋楽の、あのバンド風な……」と思ったけど、よく考えると「あの」にあてはまるものが、出てこない。ダブでもアンビエントでもギターロックでもないけど、そのすべてでもある感じ。つまり、オリジナルなのだ。MCはベース田中。「心配なことがありまして。僕ら、札幌から飛行機で来て、明日帰るんですけど、明日は飛行機が飛ばないかもしれないんですよ」。ドラム津波「そしたら俺は上野発の夜行列車で帰るよ」なんてすっとぼけたMCの時は、こっちの意識もやや現世に戻ってくるけど、曲が始まるとまたあっという間に「あっち」へ連れて行かれる。“メロディ”に続いて、“メロウ”“ドレミ”“flee”“ねむろ”とプレイ。一瞬のような永遠のような全5曲だった。(兵庫慎司)