暗闇に紅い妖しげなライティングの中に登場したGRAPEVINE。シンバルのカウントから１曲目は“その未来”。叩きつけるリズムと歪んだギターにのせ、田中、吼える！　タメの利いたグルーヴとひねくれた攻撃性、そして醒めた色気をたたえたロックの磁場にEARTH STAGEが一気に呑み込まれる。今日のバインはとにかく漲りまくってる！　「今年のイヤなこと忘れようとここに集まったアナタ、俺がそのイヤなことをひとつひとつ思い出させてやる！」というMCは彼らの決意表明だ。“少年”“放浪フリーク”の叙情性、“豚の皿”“VIRUS”の不穏さ、どちらも強烈に鮮やかだ。ラストは超スケールの名曲“KINGDOM COME”！　バインは「本物」のロックの迫力で広大な会場を圧倒して去っていった。




ZAZEN BOYS・向井の第一声は、もはや恒例の「幕張！　時には女とまぐわり！」でした。１曲目“USODARAKE”から、異様に硬質な音の塊が渦巻く！　す、すごい。去年の出演時とももはや比べ物にならない異次元のグルーヴを、彼らは手にしてしまっている。特に松下敦の腰の据わったドラム、ヤバすぎ。変拍子の嵐“HIMITSU GIRL’S TOP SECRET”、ツェッペリンそのものなセッション“HARD LIQUOR”とガチンコナンバーが続く。さらに年明け早々リリースの『ZAZEN BOYS Ⅲ』から向井がシンセを弾く“FRIDAY NIGHT”、そして“CRAZY DAYS CRAZY FEELING”とファンク色の強い曲へ。とどめは会場中を祭囃子に巻き込んだ“半透明少女関係”。ほんと、とてつもないライヴだった。（小杉俊介）