これがアーティストの仕事

デヴィッド・ボウイ『ノー・プラン』
発売中
ALBUM
デヴィッド・ボウイ ノー・プラン
昨年10月に発表された舞台『ラザルス』のオリジナル・キャスト録音アルバムの表題曲(『★』収録テイクと同じ)と、そこで初めて日の目を見た未発表3曲の計4曲を単独CD化した作品集。

このEPに収録されている曲の詳しいレコーディング・データ等は明らかにされていないが、トニー・ヴィスコンティとの『★』セッション時の録音であることは間違いなく、参加ミュージシャンも『★』と同じダニー・マッキャスリン率いるクァルテットだろう。『★』の世界観に通底するダークでミステリアスで重層的なサウンド・プロダクションが展開されている。マッキャスリンによるムーディなサックスと囁くように穏やかなボウイのヴォーカルが印象的な“ノー・プラン”、緊迫感溢れるハードでヘヴィなダーク・ゴシック風“キリング・ア・リトル・タイム”、ボウイらしい朗々としたメロディと凝ったヴォーカル・アレンジが聴ける“ホエン・アイ・メット・ユー”と、いずれもきわめてクオリティが高く、死を前にした緩みや気力・緊張感の低下などは微塵も感じられない。安直なセンチメントに決して回収されない、気高く厳しい作品集である。(小野島大)
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