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    グリーン・デイ、見事全米1位を記録した新作『レボリューション・レディオ』に寄せて

    グリーン・デイ、見事全米1位を記録した新作『レボリューション・レディオ』に寄せて
    グリーン・デイ、健在である。良かった。この作品について、しばしば代わり映えしない、という声を聞くたびになんだか悔しい気持ちにさせられた私としては、嬉しい限りだ。

    「生き残る」という言葉はパンク・ロックにとってとても重い意味を持つと思う。
    サウンドやアティテュードにおいて切磋琢磨すればするほど大衆の求めるものとはかけ離れていく。それとは対照的に、潔く散ることすら時に美学になりえるのもまた、パンク・ロックだからだ。

    だから、頑張り続けること、生き残ることは、果たしてパンクなのか?、パンクをやることが目的化し、義務になってしまっていないか?と、グリーン・デイは立ち止まったのだと思う。長いキャリアを経てビリー・ジョーはその葛藤によって壊れたのではないかと察するし、立ち止まらざるを得なかったのだと思う。

    (ビリーは2012年のiHeart Radio Festivalに出演した際、持ち時間を短くされたことについて『おれは1988年からこれをやってんだよ、一分しかもらえないってどういうことなんだよ、ジャスティン・ビーバーじゃねんだよ』とブチ切れギターを破壊。ファンもメディアも騒然となった。その後、ビリーはリハビリに専念した。その時のニュースはこちら。http://ro69.jp/news/detail/73237

    グリーン・デイ、見事全米1位を記録した新作『レボリューション・レディオ』に寄せて


    グリーン・デイは、義務になってしまった自分たちのパンク・ロックをぶち壊すことで、前に進むことを選んだ。そして、そうやってぶち壊した先に再び見つけたのは、やっぱりパンク・ロックだった。思春期に自分が夢中になり、音楽をやるきっかけとなったサウンドを捨てることなんて、やっぱりできないだろうと思う。

    もう一度パンクを取り戻す、そのための過程と結果が同時に焼き付けられたのがこの『レボリューション・レディオ』だ。そうしたバックグラウンド抜きで、このアルバムを評価することはできない。

    誰の耳にも届きうるパンク・ロックをやる、それをやって生きていくという決心は、パンクの真髄を知っていれば知っているほど、なかなかつくものではないだろう。その決心が鳴っている『レボリューション・レディオ』が、広く受け入れられることになって本当に良かった。
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