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    ガス・ヴァン・サント監督の『永遠の僕たち』を観た

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    1年近く前にこのブログで紹介したガス・ヴァン・サントの新作『永遠の僕たち』だが(http://ro69.jp/blog/cut/41924)、ようやく観れた(4月にも紹介、http://ro69.jp/blog/cut/50068)。
    両親を亡くし、“死”というコンセプトにとりつかれた男の子と、末期がんをわずらい、余命3ヶ月と告げられた女の子のラブストーリーなのだが、その設定からしてとてつもなくビタースウィートな映画だってことは想像できるだろうけど、意外にもシンプルで上品に綴られているのがこの作品の肝。
    さりげない音楽も、さりげない会話も、決してベタになることなく、リアルな孤独と、リアルな喪失感を描きながらも、観客を突き落とすようなことは絶対にせず、とても幸せな気持ちにさせてくれる、すごくいい意味での“小さな映画”である。
    こういう感覚にさせられる映画は昔よくあったような気がするけど、最近だとすごくレア。
    そういう意味でも多くの人に観てもらいたい1作である。

    主演のヘンリー・ホッパー、そして特にミア・ワシコウスカの演技というか、存在感もすごくいい。
    でも、彼らより素晴らしい存在感を発しているのが加瀬亮。
    前にも書いたが、彼が演じるのは主役の男の子のみが見える幽霊。
    しかも、それが第二次世界大戦で戦死した日本軍の特攻隊員の幽霊というわけのわからない役とのことで、観る前は、正直、どうせ1シーンにチョロっとしか出てこないんだろうと思ってたんだけど、これが大間違い。
    主役ふたりに張る重要な役を担っているのだ。しかも全編セリフは英語。
    『アウトレイジ』や『SPEC』などでそのバイリンガリズムを活かしている加瀬亮だが、この映画でのそれはもう別格。
    英語云々とかもうそういう問題ではなく、普通に演技していて、それがまたすごくいい。
    正直、映画の一番美味しいところを持っていっちゃってる、と思えるほど、この映画における加瀬亮の存在はデカイ。

    日本公開は12月23日ということなので、本誌でガッツリ紹介できるよう、今から色々と準備しております。
    楽しみにしてください。(内田亮)
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