俳優・二宮和也、15年の肖像

俳優・二宮和也、15年の肖像
いよいよ12月19日発売!
以下、誌面に掲載している記事の紹介文です。
---
二宮和也の演技は、人の心を強く動かす力を持っていて、その評価は、観客からも、映画/ドラマの作り手や共演者からも極めて高い。それはなぜか? 今回のインタビューでも話題に出ている堤幸彦、蜷川幸雄、倉本聰といった監督/演出家/脚本家、そして山田洋次やクリント・イーストウッドといった巨匠映画監督とも仕事をしてきた彼だが、共に作品を作るその人々との向き合い方に僕は大きな秘密があると思っている。これは僕が、いろいろな場面で取材をしながら感じたことだが、まず彼は――これは演技をしているときに限らずだが――相手を経歴とか地位とかイメージで一切、判断しない。相手が自分にどのようにアプローチしてくるか、そこにどれだけの志や責任や工夫や情熱が込められているかですべてを判断している。だから二宮和也とのコミュニケーションは緊張感があり、そこに思いを込めれば込めるほど濃厚なものになる。彼の、人の心を動かす演技は、すべてそこから生まれていると僕は思っている。つまり二宮和也は、人の言うことをとてもよく「聞く」俳優である。しかし、それは従順な俳優だということではない。共感する部分、感覚の違う部分、ルールが決まっている部分、自由に動ける部分、託された部分、委ねるべき部分、それらを自分の意志と責任において見極めて判断して「演技」というアウトプットにすることを徹底して行う。それが「俳優・二宮和也」というエンターテイナーの本質だと僕は思う。これは、そんな二宮和也が、主にこの15年間、どのような作品で、どのように作り手たちと向き合い、どのような「演技」を生み出してきたのかを具体的なエピソードと共に語ってもらった貴重なインタビューである。

(古河)
CUT 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする