ファイル共有ソフトで音源をダウンロードしてもCDの売上は減らないという研究結果が覆される

ファイル共有ソフトで音源をダウンロードしてもCDの売上は減らないという研究結果が覆される

2007年にカナダで行われた研究調査で、ファイル共有ソフトを導入して利用してもCDの売上のマイナスには働かないという研究結果が発表され、実際のデータとともにCDの売上が促進されているという結論が導かれていた。

この誰もが最初は首を捻った調査結果を、まったく同じデータを使ったオーストラリア国立大学のジョージ・バーカー教授が覆してみせたとか。バーカー教授はもともとデンマークの研究者ビルゲット・アンデルセンが行った解析と研究のために使ったデータを精査し、結果的にアンデルセンが導いた結果とは対照的な結果を同じデータから導いたという。それによれば、データをすべてそのまま反映させた場合、P2P(ファイル共有ソフト)によるダウンロードの利用が10パーセント増加するとCDの需要は0.4ずつ落ち込むという結果が導かれるという。

バーカー教授はアンデルセンがそもそもの分析で2005年以前にCDの購入をやめてしまった層を調査研究から除外したことを間違いとしていて、そもそもこうした層が積極的にその後ダウンロードに関わっていったユーザーなのだと指摘している。さらにP2Pダウンロードを行うユーザーもCDを購入するユーザーも同じ音楽ファンでもともと音楽を取得したい動機を同じように持っているのだから、P2Pダウンロードの増加がCD購買欲を刺激するという見方そのものがおかしいとも指摘している。

バーカー教授の結論は2006年にエコノミストのスタンリー・リボビッツが発表した研究とも呼応していて、『ビルボード』誌はリボビッツの次のような問いかけを引用している。「ただでしかも手頃に手に入る高品質のコピーと、購入しなければならないオリジナルとが並んでいる場合、購入品の代わりに無料のコピーで代用させる個人が相当数いるということはそれほど驚くような事実だろうか」

また、『ビルボード』誌のスタッフで弁護士でもあるバリー・スークマンはアンデルセンの研究結果がカナダの著作権法改正案の検討資料に反映されていることなどを警告もしている。
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする