POLYSICS@Zepp DiverCity Tokyo

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新しさと、変わらなさが、交互に顔を出したアクト。その結果、結成から17年以上の歳月を貪欲に生き抜いてきたPOLYSICSの強さが、華々しく開花したアクトだった。通算13枚目のフル・アルバム『ACTION!!!』を引っ提げた全国ツアー「POLYSICS JAPAN TOUR 2014“ACTION!!!”」のファイナル公演。POLYSICSにとって初となるZepp DiverCity Tokyoのステージで、彼らは結成当時から地道に積み上げてきたバンド・キャリアに、新たな1ページを加える新旧入り乱れたアクトを堂々とやってのけた。

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暗転とともに最新アルバムの冒頭を飾る“ACTION!!!”のSEが鳴り響き、オレンジのツナギに身を包んだ3人が登場。「トイス!」コールでフロアとの結束力を固めたところで、「いくぜ、ツアーファイナル!」とスタートしたのは“URGE ON!!”だ。いきなりのハード・チューン投下に激しく躍動するオーディエンス。しかしステージ上の3人はどこか落ち着いたムードを放っていて、それが逆にバンドの円熟度を如実に物語っている。無闇に突っ走らなくても沸点へと持っていく術を会得したバンドならではの大人の余裕とでも言おうか。“Young OH! OH!”でフロアをさらに沸騰させた後は、最新アルバム収録曲の“Don't Stop Johnny”へ。複雑なリズム展開ながら抜群の抜けの良さを持ったサウンドでバンドの新機軸を打ち出すと、ライヴ定番曲の“シーラカンス イズ アンドロイド”で再び巨大な一体感を生んでいく3人なのであった。

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「トイス! ついに来たぜファイナルー! 今日はマジで出し切ろうな」と最初からトイス!を連発しまくり会場のヴォルテージを高めていくハヤシ。“Let’s ダバダバ”では最前列のお客さんに次々とマイクを向けて「♪ダーダーダーダバダバダバー」のフレーズを歌わせていく。“Speed Up”で文字通りギアを一段アップさせると、タイトなアンサンブルから突如煌びやかなメロディが溢れ出す“Post Post”へ。さらに鋭さを極めた3人の音と電子音がガチンコで衝突する“O MEGA NE”へ雪崩れ込んでいくわけなのだが、この最新アルバム『ACTION!!!』の楽曲群の、気持ちいいほどの開放感には改めて驚かされる。ヴォコーダーやノイズを駆使したり複雑なアレンジを施したりと情報過多で一筋縄ではいかない点は紛れもないPOLYSICSサウンドであるのだが、全体的にラフなムードが漂っているというか、直感で音を鳴らしているような自由な空気に満ちているのだ。「今回はダーッと行ってギューッと詰まった、あっという間のツアーでした!」とハヤシも言っていたけれど、その言葉通りの3人の伸び伸びとした勢いが感じられる怪演の連続だ。

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最新アルバムの楽曲が乱れ打ちされた中盤戦では、3人のパフォーマンスもますます痛快なものに。“発見動物探検隊”では頭につけた懐中電灯でフロアを照らしまくるハヤシ。曲の後半ではヤノが持ち出したワニのようなヌイグルミに腕をかまれ、ステージに倒れ込むという手の込んだ芝居を見せる。EDMサウンド全開の“New Melody”では、腰をくねらせながら歌い踊るハヤシという、今までのポリのライヴでは到底見られなかった光景も随所で見られる。さらに“Rhythm”では頭上高くに設置された機材をジャンプしながら何度も押し鳴らして、目にも楽しいパフォーマンスを全力で体現していくハヤシ。サウンドのみならずパフォーマンスの上でも120%のエネルギーを出し切って観客を楽しませていくPOLYSICSのステージにはいつ観ても驚かされるばかりだが、その貪欲な姿勢が新曲でもしっかり貫かれていることに、改めて感服させられる。しかも、それが映像や舞台美術を駆使したド派手なものでなく、あくまで人力に頼ったアクロバティックなものである点が素晴らしい。“Number Zero”でドラッギーな高揚感を生み出すと、“MAKING SENSE”で再び三位一体の骨太なバンドサウンドが炸裂。そこまでのパフォーマンスがユーモラスであっただけに、黄金の光をバッグに鉄壁のバンドサウンドを鳴らしていく3人の姿がひときわ神々しく輝いて見えた。

POLYSICS@Zepp DiverCity Tokyo
POLYSICS@Zepp DiverCity Tokyo
今年3月4日にバンド17周年を迎えたPOLYSICS。今回のツアーはそのアニヴァーサリー的な意味も踏まえているということで、終盤ではオールタイム・ベスト的なセットリストを展開。フミのベース・ソロが冴えわたった“Turbo Five”で猛ダッシュを決めると、バンド初期のアップ・チューン“Hot Stuff”へ。さらにヤノの超高速ドラミングとフミのヴォーカルが炸裂する“How are you?”でフロアの腕を突き上げさせると、ハヤシの手による鮮烈なシンセサウンドが飛び交う“MEGA OVER DRIVE”で凄まじい狂騒感を生み出していく3人。そしてキラー・チューン“ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ”では、お馴染み金髪アフロを被っての3人の痛快パフォーマンスが! こういったお約束とも言えるパフォーマンスを律儀に展開してくれるところも、彼らが長きにわたってファンの心を掴み続けている大きな理由である。さらにミラーボールの閃光の下で“Boys & Girls”を軽やかに届けると、本編ラストは彼らの代名詞的な曲である、ファースト・アルバム収録曲の“Buggie Technica”。≪We are POLYSICS≫という時を経るごとに重みを増していくフレーズが、モッシュとダイブの嵐と化したフロアに燦然と響きわたって圧巻のラストを迎えた。

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アンコールでは、「こんなにも全公演セットリストが違うツアーは初めて」と明かすハヤシ。「マジでこれからも楽しいライヴしかしないから。17周年だけどまだまだ俺は落ち着かない!」と彼らしい言葉で高らかな決意表明を行うと、“Baby BIAS”“Shout Aloud!”“Lucky Star”の3連発。メンバーがステージを去っても鳴りやまない拍手に応えてダブル・アンコールに登場すると、「本編に入れたくても(曲が溢れて)入れられなかった曲をやります」と“Electric Surfin’ Go Go”を伸びやかに奏でて2時間ジャストのステージを華やかに締め括った。今後は5日5日の「VIVA LA ROCK」出演に加え、営業終了間際のSHIBUYA-AXでのdustboxでの2マン、MONGOL800とキュウソネコカミとの大阪での3マンや、TOTALFATの対バンツアーへの参加など、胸躍るスケジュールが目白押しのPOLYSICS。常に攻めの姿勢を崩さずにライヴバンドとしての絶対的な地位を築き上げてきた彼らは、今後も明るく逞しくシーンを駆け抜けてくれるはずだ。(齋藤美穂)

セットリスト
1. ACTION!!!
2. URGE ON!!
3. Young OH! OH!
4. Don’t Stop Johnny
5. シーラカンス イズ アンドロイド
6. Let’s ダバダバ
7. Speed Up
8. Post Post
9. O MEGA NE
10. Quiet Smith
11. DNA Junction
12. 発見動物探検隊
13. New Melody
14. Rhythm
15. Number Zero
16. MAKING SENSE
17. Turbo Five
18. Hot Stuff
19. How are you?
20. MEGA OVER DRIVE
21. ピーチ・パイ・オン・ザ・ビーチ
22. Boys & Girls
23. Buggie Technica
アンコール1
24. Baby BIAS
25. Shout Aloud!
26. Lucky Star
アンコール2
27. Electric Surfin’ GO GO
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