【NY映画祭】ルー・リードに捧げられたローリー・アンダーソン監督作は、亡くなった愛犬がテーマ(涙)

【NY映画祭】ルー・リードに捧げられたローリー・アンダーソン監督作は、亡くなった愛犬がテーマ(涙)
NY映画祭のレポートを、まだ書いていてすいません(汗)。

トロント映画祭も書ききれてないけど、『CUT』最新号(11月号・発売中)に絶賛掲載中なのでぜひ読んでください!

実は、トロント映画祭でも公開され、NY映画祭でようやく見れたローリー・アンダーソンの映画『Heart of a Dog』がとてもスペシャルな作品だった。

内容は、亡くなった愛犬について。それだけでもかなり悲しいテーマだが、映画の中で、彼女の家族や生い立ちについても徐々に明かされていく。それが、時に衝撃的だったりする。例えば子供の頃、まだ赤ちゃんだった双子の弟を凍った池で溺れさせてしまった話とか……彼女が必死になって助けるのだけど、それを聞いている時は、心臓が止まる思いだった。また、彼女が脊髄を痛めて、もう歩けなくなると言われたことなど……絶対歩けると言い聞かせるのだけど。もっと決定的なこともあるけど、あまり書くと面白くないので、我慢する。

この映画の素晴らしいところは、そういう人生の様々な出来事を繋ぎながらも、人間とは、愛とは、そして最終的には死とは、を考えさせられる作品であるということ。しかも、そのトーンにどこか癒しがあり、不思議とゆっくり諭されているような気分になるのだ。
【NY映画祭】ルー・リードに捧げられたローリー・アンダーソン監督作は、亡くなった愛犬がテーマ(涙)
ルー・リードについては映画の中では何も触れられていない。最後に彼に捧げる、と文字が出て、犬とルー・リードが映り、曲が流れるけど。でも、この作品全体が、彼女にとってルー・リードの死を癒す過程で大事だったことは明らかだ。愛犬が楽器を演奏するようになるシーンなどかわいくて、笑えるシーンもたくさんある。見ていると、あまりに安らかな気持ちになって、見終わった時には、自分の死とすら向き合えた気分になる作品なのだ。これまで見たこともないような独自のトーンもなんとも言えない。

彼女自身は、この作品を「悲しくならずして、悲しみを感じる練習をした映画」と語っている。

予告編はこちら。
【NY映画祭】ルー・リードに捧げられたローリー・アンダーソン監督作は、亡くなった愛犬がテーマ(涙)
アメリカでは劇場公開が開始されたばかりで、サントラも発売された。すごく良い映画だけど、小さい映画なので、日本公開はあるかな?
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