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SOUND OF FOREST 16:55

夕べの森に降り立った誰かの心を救うための歌

バンドメンバーがスタンバイすると、ゆったりとした白い衣裳を纏ったCoccoが静かにステージに現われた。歪んだシンセサイザー、細かく刻まれたギター、1曲目はいきなり“音速パンチ”だった。いまここに生きていることを全身で主張するようなCoccoのボーカルがSOUND OF FORESTに響き渡る。辣腕のバンドメンバーたちが奏でる骨太なロックサウンドにのせて、ときに激しく、ときに優しく歌いかける“ドロリーナ・ジルゼ”から、名曲“強く儚い者たち”へ。Coccoが紡ぎ出す包み込むような歌声に集まったお客さんはただ呆然と聴き入っていた。

「こんにちはございます。Coccoです」。歌のときとは一転して消えそうな声であいさつを交わすCocco。「ご存知ダークサイドクイーンなんだけど……8月6日の今日ぐらいはラブ&ピースを祈ります」。そう言って日本人にとって忘れてはいけない出来事へと想いを馳せたあとに届けた“樹海の糸”は、平和への祈りの歌として緑の森へと溶け込んでいく。
8月24日にリリースされるアルバム『アダンバレエ』から披露されたナンバー“有終の美”では、「すぐ大丈夫って言ってしまう。でも全然大丈夫じゃないんだけど、大丈夫って言ってしまう、そんな女に捧げます」とCocco。誰かを支えるには細すぎるその身体から絞り出すように紡がれる歌。この曲はきっとまた大勢の人の心を救うのだろう。最後は圧倒的な狂気を孕んだ愛の讃歌“花柄”を歌いきり、Coccoはバレリーナのように優雅な一礼をしてステージを後にした。歌に生かされる天性のシンガー、圧巻のステージだった。(秦理絵)

この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2016」は9月16日発売予定です! 全ライブアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。