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サウンドチェックの段階で、早くも大勢のオーディエンスを魅了し拍手喝采を浴びたthe HIATUSが、涼しい風の吹く最高のコンディションのGRASS STAGEに登場である。トライバル・ビートのSEの中、改めて姿を見せると、いきなり圧巻のダイナミズムと美しさを誇る音響をフィールド一杯に鳴り響かせてくれる。束になってのたうち回るコーラス・ワークの迫力はどうだろう。生命力そのものの表出としか思えない、荒れ狂うバンド・アンサンブルに戦く。細美武士(Vo/G)は「こんにちは、the HIATUSです! 今年はGRASS STAGEがでかくなったとか言ってるけど、全然でかく感じません」と言い放つのだが、彼らが、生々しい躍動感を損なわずに巨大なスケール感の楽曲群を次々に描き出してしまうのは確かだ。

“Deerhounds”では細美の軽やかなアコースティック・ギターが奔放に舞い上がり、幾筋ものテクニカルなフレーズが絡み合う楽曲の中にはmasasucks(G/Cho)がブルーの頭を激しく振りながら巨大なギターのノイズを振りまいてゆく。「これまで出たロック・イン・ジャパンの中で、一番楽しいです! ありがとう」と告げた細美は、自身の今の社会に対するスタンスを示してサポートを求めながら、「これから戦っていく中で、何に守られて、何に力を貰うかって言うと、俺は子供の頃の記憶なんだ。俺は、バイクに乗るとめちゃめちゃ元気になったし、無敵だって思えた。もしお前らがロック・イン・ジャパンに来てそういう気持ちになれたなら、それを大事にしてください……聴いてください、革命の歌です。“Horse Riding”」とメッセージを投げ掛け、目下の最新EPのタイトル・チューンでもあるその曲へと向かっていった。幼い心にも訴えかける愛らしいギター・フレーズから、壮大なバンド・サウンドへと展開する、強烈にドラマティックな歌が、先ほどの細美のメッセージと重なって聴こえる。

『Horse Riding EP』収録曲で言えば、この後に披露された“Don't Follow The Crowd”も凄まじい。この全く新しいシンフォニーを開拓してしまったような我が道を往く楽曲が、ライヴで触れると更にとんでもないことになる。そして、「おまえら、ロック・ファンだよな? ロック・ファンってことは、やりたいことをやり、言いたいことを言い、いつも喧嘩ばっかりしてるくせに、遠くの友達が困ってるときにはすぐに助けにいく、そういうことだよな? 俺はおまえらのこと、信じてるからな!!」と言葉を掛け、「聴こえねえぞー!!」と強くシンガロングを求めながら、“Insomnia”以降の興奮渦巻くクライマックスへと向かってゆく。細美は最後の1曲まで、何が何でも伝えるぞとばかりに身振りを交え、残す力を振り絞るように、高らかな歌声を上げるのだった。(小池宏和)





この3日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」は9月上旬発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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【the HIATUS】過去の ROCK IN JAPAN FESTIVAL クイックレポート