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ユニコーンの川西幸一(Dr)、手島いさむ(G)、EBI(B)の3人が結成したバンド=電大(全員が広島電機大学出身であることに由来)が、デビュー年のROCK IN JAPANに登場! 開演前のかなり早い時間から、続々とオーディエンスがステージ前に詰めかけてSEASIDE STAGEは盛況である。お揃いの『Δ結線』Tシャツで姿を見せると、パワフルにして正確なリズム隊の演奏の上で、テッシーが鮮やかなギター・ソロを思うさま弾きまくるインスト・ナンバー“storm storm”からスタートだ。なんか、ロックって結局、曲と音がかっこよければ成立しちゃうよね、と能天気なことを書きたくなってしまうほどの、有無を言わせぬ説得力。「電、大、です!!」という一声からEBIがシャウト一発、“炎のモーニングコール”で電大印のユニゾン・ヴォーカルが始まる。続いてはアメリカンな大振りロック・グルーヴで“白くぬりつぶせ”を披露。これぐらいのゆったりしたテンポとしゃにむに肯定的な歌詞を、この2012年にアリにしてしまうという音の説得力がすごい。なんか、ところどころ誰かがヴォーカルをサボったりしていても気にならないぐらいの余裕。「ここは涼しいですね、良かったです(テッシー)」「さっきそこ通るとき、電大(電に強いイントネーション)さんですかって訊かれて。違います。電大(フラットなイントネーション)です(川西)」「こんにちは、電大(電に強いイントネーション)です。そう言うんですよ、こちらの方の皆さん、地元の方たちはね。違う?(EBI)」。30分という持ち時間の中でもナイスな絡みを見せてくれるが、文章のレポートで伝えるのは難しい。“豪快男児”、“By The Way”とノリノリで演奏をすすめると、あっという間にラスト1曲というところ。「なんだかよく分からないうちに終わってしまいますが、来年はあちらの……ステージに! 皆さんにかかってますよ。僕たちは普通にやるんで。あと、あれは言っていいのかな……」。ブギーなイントロをキープしながら「まだ喋るんかい!」とツッコミが飛ぶ。「今、レコーディングしてて、ミニ・アルバムが1枚出てますけど、今年中にもう1枚作って、それ持ってまたツアーに出ますんで。とりあえずそこに遊びに来てください!」と、長かったけれど嬉しいニュースを届けてくれたEBIであった。最後は“風天”の爽やかなメロディが、夕刻のSEASIDE STAGEを満たす。マイペースなだけに、凄いところは凄いところとして強く際立ってしまう。そんな熟練の味を残していった電大だった。(小池宏和)