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暗転してSEが鳴り響き、巨大ビジョンに映像が映し出された中、KOHKI(G)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)がスタンバイ。そして、ミュートしたギターのイントロが刻まれ、ステージ下手袖からTOSHI-LOW(Vo)が、ゆっくりと歩いて登場した。1曲目は“Kamuy-pirma”。何処か郷愁を誘いながらも、興奮を激しく煽って止まないメロディが、ジワジワと広がってゆく。ただならないエネルギーを感じたお客さんは、微かに体を揺らしながら、まさしく固唾を呑んで聴き入っていた。 そして、ここからの彼らのステージは、まさしく壮絶! 2曲目“The only way”から16曲目“PLACEBO”まで、ブレイクを挟まずにひたすら彼らは演奏を繰り広げたのだ。特に12曲目“ARRIVAL TIME”までは、ほぼノンストップで曲同士を繋げていた。何かに挑むかのように、全身全霊を振り絞りながら歌っている彼らの姿は、「ロックバンド」ということを遥かに超越した、とても崇高なエネルギー体のようにすら見えた……と言っても、あの場にいた人だったら誰も異論を唱えないだろう。 マイクスタンドを軸に体を揺らし、宙を打つように歌ったTOSHI-LOWの気迫とお客さんのオイオイコールが劇的に一体となった“THE VOID”。エキゾチックなテイストのメロディ、RONZIの叩き出す凄まじいビート、低い体勢からアグレッシヴなフレーズを連発するKOHKI、MAKOTOの姿に圧倒された“BOX”。バンドとお客さんの熱気が限界まで上昇するのを肌でまざまざと感じた“BASIS”“逆光”“ARRIVAL TIME”“FOR ONE'S LIFE”“ANSWER FOR…”の超絶ノンストップ演奏など、心に強烈に焼き付いたシーンは数知れない。 そして、“PLACEBO”を歌い終えた後、震災直後から被災地支援のために素早い行動を起こしたTOSHI-LOWなりの想いを語った言葉も印象的だった。「俺なんかで良かったら一生支援します。東北の人として死んでいくから」。このMCを経て、最後に披露されたのは“霹靂”。祈るかのように厳かに始まり、やがてバンド一丸となって強烈なエネルギーを放つ様が凄まじかった。 アンコールはなく、BRAHMANのライヴは本編の全17曲で終了。そして、色とりどりの花火が打ち上げられ、ひたちなかの夜空を染めた。BRAHMANのライヴで感じた興奮の余韻、花火の爆発する音が鮮やかに融け合った、本当に素晴らしいロック・イン・ジャパンの締め括りであった。(田中大)