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「イエーイ、エブリバディ!」、宮本浩次(Vo・G)が両腕をバッ!と勢いよく広げて演奏がスタート。1曲目は“悲しみの果て”。胸にグッと迫ってやまないメロディに魅せられて、瞬く間に広大なGRASS STAGEのフィールド全体が一体となっていった。 「楽しみにしていましたエブリバディ! さあどうする? やるか? いこうぜ!」、イントロ中に宮本が我々に呼びかけ、スタートしたのは“俺の道”。じっくり聴かせる冒頭を経て、劇的なまでに昂ぶってゆく展開にワクワクした。野外の風を感じながら聴くのは格別だった“風に吹かれて”。温かいエネルギーを思いっきりチャージしてくれた“幸せよ、この指にとまれ”。いつにも増してバリバリにハジケた演奏だった印象の“so many people”……曲が次々と披露される毎に、セットリストに込められたメッセージが伝わってきた気がした。このセットリストは、挫けずに前へ進もうとする意思を歌った曲ばかり。まさしく、そういうメッセージを伝えたくて用意されたセットリストだったのではないだろうか? メッセージは、確実にお客さんに伝わっていたと思う。力強いエネルギーがどんどん満ち溢れていくのを感じたフィールドの光景は、本当に美しかった。また、ハンドマイクで宮本がステージ上を激しく巡りながら全力で歌い、熱いエネルギーを放射しまくった“ガストロンジャー”で、皆が掲げた拳の猛烈な逞しさも忘れられない。 それぞれの曲を始める前の宮本の言葉の数々が、どれも非常に印象に残った。“俺たちの明日”は「ここに集まっている不器用だけど闘っているやつに捧げます!」、“生命賛歌”は「でっかく生きようぜ! そういう歌です」、“ファイティングマン”は「みんな良い顔してるぜ。闘う男も女もファイティングマンだ。闘えエブリバディ」という言葉を添えてスタートした。これらの言葉の効果によって、初めて曲を聴いた人も、込められた想いを鮮やかにキャッチできたに違いない。 最後の曲“ファイティングマン”の演奏が終わると、「勝ちに行こうぜ、エブリバディ! サンキュー、また会おう!」と宮本が挨拶し、エレファントカシマシはステージを去った。このライヴを目の当たりにしたお客さんの心の中のヴァイタリティのひとつひとつに、素敵な炎が灯されたライヴだったと思う。(田中大)