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 朝から灼熱の最終日、SEASIDE STAGEの幕を開けるのは、自称「ロック界の奇行師」、アルカラ。11時を回るころには、すでに会場にたくさんの、人、人、人。ROCK IN JAPAN初登場のアルカラだが、彼らへの期待値の高さがうかがえる。4人が登場するや、「オイ! オイ! オイ!」と野太いコールが沸いて、会場の奥へと広がっていく。
「こんばんは、X-JAPANです、よろしく!」とフロントマン・稲村太佑(Vo・G)がのっけからぶちかますや、疋田による超重低音のバスドラが響きわたり、“キャラバンの夜”へ。ギター・田原、ベース・下上ともに爆音をぶつけ合わせる怒涛のインスト・ナンバーから、“キャッチーを科学する”へと流れ込む。会場はジャンプ、ジャンプで熱狂の渦に。今、とてつもなく暑いってことを彼方に吹っ飛ばして忘れさせる、猛烈にノイジーで、猫の目のようにくるくると変化する奇天烈サウンド。そして、まくし立てられるシニカルな歌と、とっても人懐っこい歌謡性もあるメロディ……何がなにやら頭のなかはこんがらがってるのだが、とてつもなく面白い。クセになるバンドである。
 90年代オルタナの不穏な歪み、そしてSUB POPバンドの遺伝子まで持ったような愛すべき爆裂音を全開にした“癇癪玉のお宮ちゃん”では、田原、下上ともに、頭をガンガン振りながらプレイ。海と空がつながった、オープンエアで爽快なSEASIDE STAGEが、狭苦しく汗臭い地下のライヴ・ハウスにでもなったようなムード。そして、奇天烈ポスト・ハードコア風な“わ、ダメだよ”へと激走していく。 「炎天下のなか、みんなこんなテンションじゃもたないかなあと思って、アルカラ、見てのとおりアコースティック・バージョンでやってます」とシレっと嘘八百を並べ、「1曲アカペラで歌っていいか。♪ラララ、ララララ、ララララ~……、はい、いっしょにぃ、消~臭~力~! ありがとーぅ」と、やりたい放題の稲村。こんな暴走、奇行も、結局は猛烈な音と音楽とでアリにしてしまう。ラストの“チクショー”まで、オーディエンスの頭のなかをかき回していったアルカラだった。(吉羽さおり)