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黒いシャツと紺のスラックスに真っ赤な着物? 襦袢? みたいな和服を羽織って登場した吉井和哉は、堂々たる色気とただならぬオーラを放っていた。ひとつの到達点ともいえる傑作『VOLT』を発表した後のフェス参戦ということで、5万人のオーディエンスは期待にむせ返るような表情をみせている。そんな中、THE YELLOW MONKEYの“楽園”が鳴らされる。盛り上がらざるを得ないスタートのあとは、“WEEKENDER”で着物を脱ぎ捨て、「明日も盛り上がろうぜー」「今年一番の夏フェスにしない?」というフレーズを織り込んでいく。さらに“HOLD ME TIGHT”“PHOENIX”と続くが、吉井がギターを持ち、厳粛なムードで始まった“シュレッダー”が特に印象的だった。それもそのはず、『VOLT』ツアーでは吉井がはじめてメインでギターを持ったのだが、その中で自らが鳴らすギターへの確信と、その意識の革新と、新たな音の核心を発見した大きな体験があったのだ。だからこそ、どの曲でもオーディエンスと音を鳴らす喜びを共有するのが楽しくて仕方がない、というような表情を見せていたのではないか。さらに“ONE DAY”“ビルマニア”“Shine and Eternithy”と、2005年以降のアルバムから満遍なくピックアップされたセットリストだったが、ラストは「僕が昔うたってたブルースを最後に聞いて欲しいと思う」と、まさかの“JAM”。圧倒的な力に打ちのめされてしまった。それにしても。ロック・スターという言葉がこんなに違和感なくフィットするアーティストは他にいないだろう。3年ぶりのROCK IN JAPAN FES、まさに圧巻でした。(上田智子)