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本日3番目のアーティストはTHE BACK HORN。去年はドラムの松田が吉井和哉のゲストとして登場したが、バンドとしての『JAPAN JAM』参加はこれが初めて。SE代わりのジャムセッションを気合十分に弾き終わると、1曲目は“雷電”! エスニックな音色に歪んだギターが妖しく鳴り響き、読経のような将司のボーカルから、全パートが一気にヘヴィに飛びかかってくる。のっけから攻撃力抜群である。続けて真っ赤な照明の中で鳴らされたのは“罠”。すでに汗だくのメンバーから湯気のように上がる迫力が、フロアの温度をガンガンにヒートアップさせていく。

「改めましてこんにちは、THE BACK HORNです!」と松田が恒例のMCをすると、続けて披露されたのは“赤眼の路上”、そして“雨”だった。“赤眼の路上”は先日のライブでもやっていたが、普段ライブで聴ける機会は少ない曲である。“雨”もそうだ。こういうミドルテンポの曲で、ゆっくりと情熱を昂らせていく彼らも、とてもいい。そしてステージがいったん暗転すると、将司がタイトルを告げた次曲は“世界中に花束を”。将司が茨城出身、松田と栄純が福島出身である彼らが、震災の被災地に捧げるために急遽作った新曲である。今、音楽にできることはあるのか。「僕は今無力だ」と将司が叫ぶ歌詞にも、スケール感を増したアンサンブルで響く歌声のハーモニーの柔らかさにも、僕はバックホーンが目指した新たな境地を見ることができた。世界や人間の闇ととことん向き合ってきた彼らが、より多くの人に共有されるべく鳴らしたこの曲は、本当に力強い。



そして「幕張、盛り上がっていきましょう!」の言葉から一転、轟音のリフからヘヴィに疾走する“戦う君よ”、さらに“刃”の「ウォオーオーオー!」大合唱で再びフロアに着火すると、いよいよゲストの登場である。松田がまず呼び込んだのは生形真一! 栄純とツインギターで始まったのは“ブラックホールバースデイ”! バスドラが地響きのように打ち鳴らされて、光舟のベースがウネると、ウブと栄純は絡みあうようにフレーズを弾き、やがてソロの応酬へと突入していく。まるで轟音の渦が生まれたかのようなステージ上で、髪を振り乱す将司に負けじと、全員が激しく暴れながらプレイしている。鬼気迫るグルーヴの迫力が、本当にヤバい。そして間髪入れずに“コバルトブルー”! あのイントロのリフをウブと栄純が同時に鳴らすと、フロアの温度は沸点に達した。頭を振りながら激しくお互いのギターをかき鳴らすふたりに引っ張られるかたちで、ステージ上の異常なテンションが、なぜかメンバーを笑顔にさせている。いや、もちろん、楽しくて仕方ない、そういうことだろう。

さらにラスト1曲、再び松田の呼び込みで登場したのはACIDMANからオオキノブオ! ステージ前列に、左から光舟、ウブ、将司、オオキ、栄純と5人が並ぶと、もはやそれだけで圧巻である。将司がイノセントな歌声で歌い始めたのは――“空、星、海の夜”! オオキがハンドマイクで情感たっぷりにその後を継いで歌うと、サビはふたりで合唱。そこにウブと栄純のギターが寄り添うようにキラキラと輝きを与え、演奏はクライマックスへと激しさを増していく。最後を決めたのは、ウブの鮮やかなギターソロでした。友情と、熱い気持ちが迸るステージ。いいもん見せてもらいました!(松村耕太朗)




◆THE BACK HORN
ゲスト・アーティスト:オオキノブオ(ACIDMAN) / 生形真一(Nothing’s Carved In Stone)

1 雷電
2 罠
3 赤眼の路上
4 雨
5 世界中に花束を
6 戦う君よ
7 刃
8 ブラックホールバースデイ w/ 生形真一(Nothing’s Carved In Stone)
9 コバルトブルー w/ 生形真一(Nothing’s Carved In Stone)
10 空、星、海の夜 w/ 生形真一(Nothing’s Carved In Stone) / オオキノブオ(ACIDMAN)