「こんなに大勢集まってくれて、こんなに大きなステージに立ってるのに、他のバンドみたいにマクハリとか叫べないんですけど……こんな感じで持つかなって……(大声で)マクハリーー!!!」という尾崎世界観(Vo/Gt.)の絶叫からはじまったクリープハイプ。尾崎のハイトーン&巻き舌が勢いよく炸裂する“社会の窓”からライブはスタートした。小川幸慈(Gt.)と長谷川カオナシ(Ba.)が大きく横に広がり、オーディエンスの歓声を受け止めるように演奏した“ウワノソラ”。《嘘つきだ 嘘つきだ 嘘つきだ》と鋭い口調で繰り返される歌詞がヒリヒリと突き刺さる。

そして中盤。“エロ”ではステージが無数の光に包まれ、ややクールダウンしたトーンから始まった“憂、燦々”では、徐々に大きなグルーヴを生み出していく。「夏の歌ばっかりですけども、もう1曲夏の歌を歌ってもいいでしょうか?」と断りを入れた“ラブホテル”では、曲間サウンドをブレイクすると、両手でマイクスタンドを持った尾崎は頭をポリポリ。「こんなに素晴らしい瞬間にくるぶしまでの靴下が両方とも捲れてます」と一言。スクリーンにその様子が映る。「これはね、夏のせいではなく、靴のせいですよ」。そして、今年は夏のROCK IN JAPAN FESTIVALに出演しなかった件に触れると、「曲も曲なのでひたちなかを再現していただけませんか?」と提案。黄色く照らす照明を太陽に見立てて、真冬の幕張に真夏のひたちなかを再現して見せた。

カオナシがボーカルをとる“かえるの唄”のあと、「もうちょっとやって帰ります」と尾崎。照明を落として、ひとりギターを掻き鳴らして始まった“百八円の恋”では、曲の終わりをスパンと断ち切るかっこいい幕切れに、一瞬の静寂のあと大歓声が起きた。最新アルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』から攻撃的な切り口で綴った“社会の窓と同じ構成”のあと、「最後にお待ちかねのSEXの歌を歌います」と、“HE IS MINE”。その瞬間に向かってじわじわと高揚感を煽りながら、「マクハリのみなさん、行けますか? じゃあ行きましょう……《今度会ったら》?」「SEXしよう!」。満員のフロアでその声が完全に一致する。やっぱりこれを言わなきゃ今年も終われないんだ。

2014年。レーベル移籍、武道館2Days、そして傑作アルバムの完成など、激動の1年となったクリープハイプ。その締めくくりは私たちの予想など軽々と超えてゆく、どこまでもクリープハイプな瞬間が待っていたのだ。(秦理絵)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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