ほとんど、情報ゼロ。公開されたアーティスト写真もシルエットのみで、公式サイトにもメンバー名などは一切掲載されていない。sukekiyoとは一体、何者なのか……。COSMO STAGEが期待と緊張感に包まれる中、ステージに登場したメンバーは5人。バックライトに照らされ、その表情はうかがい知れない。重低音を効かせたサウンドがゆったりと響き渡ると、サングラス姿のヴォーカルがマイクを持つ。その瞬間、その妖しくも激しい歌声に息を呑んだ。明らかに聴き覚えのある妖艶なファルセット、心を抉るようなシャウト――。

終演直後に彼らの正体が明らかにされた。sukekiyoとはDIR EN GREYの京（Voice）を中心に、匠（G＆Piano）、UTA（G）、YUCHI（Ba）、未架（Dr）の5人による新プロジェクトだ。昨日、SHIBUYA-AXで行なわれたSUGIZO TOUR 2013「THRIVE TO REALIZE」のオープニングアクトとして出演。このCOUNTDOWN JAPANのステージが、彼らの2度目のライヴになる。聴き手を強烈に絡め取る漆黒のサウンドと、激しく急降下しながらCOSMO STAGEの空間を支配する京のヴォーカル。混沌の果ての桃源郷を描くかのようなsukekiyoの音世界が、ただただオーディエンスを圧倒してゆく。

ステージで演奏されたのは5曲。いずれもややゆったりめのBPMで、京のヴォーカルを軸に、地の底から押し寄せるマグマのようなリズム、変幻自在に荒野を駆けまわるギター、そして軽やかに地平を舞うピアノがフロアを飲み込むように押し寄せる。集まったオーディエンスは身動ぎするとなく、５人の描く重厚で耽美な音楽に陶酔している感じだ。爆発的な盛り上がりというよりは、じわじわと炙り焼きにするようなタイプの熱狂をフロアにもたらしたsukekiyo。その孤高のパフォーマンスでCOSMO STAGEを完全に蹂躙した30分。間違いなくこのステージは伝説になる。（大山貴弘）