鮮やかに染め分けられた髪が眩しい木村カエラ。「マクハリー!!」と伸びまくるシャウトを繰り出しながら、ゴリッゴリの必殺８ビート・ロックンロール“BEAT”を叩き付けるオープニングである。続く“喜怒哀楽 plus 愛”で右肩上がりにバンドの爆音が強度を増し、その中をかい潜ってカエラの歌声が届けられる。この12月には７枚目となるフルアルバム『Sync』をリリースした彼女だが、やはりステージでこうして変わらずロック・アイコンとしての存在感を見せつけてくれるとなると、否応無しに盛り上がってしまう。続いて「もう一曲元気な曲、やってもいい？」と“マミレル”へ、ダンサブルなグルーヴの中でオーディエンスによるコーラスを纏いながら歌い上げてゆくのだった。オーディエンスの体調を気遣う言葉を投げ掛けると、その後にはそんな彼女の「積極的な癒し」が描き出されたと言える2012年リリースのシングル曲“Sun shower”が披露される。ロックなカエラの本質をしっかり見せておいて、こんなテーマの美曲に辿り着くところが心憎い。立て続けに放たれるこれまた美しいナンバーは“Butterfly”だ。オーディエンスの歌声が広がる。来る巳年にちなんだグッズ紹介は、紹介というよりも「本当に可愛くできたのー！」と無邪気に見せびらかしたかったみたいな感じ。そして新作『Sync』に収録された相思相愛がテーマの《１＋１で１になる》というメッセージでグイグイと高揚感をリードする一曲“so i”をライヴ初披露すると、「じゃあここからは激しい曲続けてやっていい？ 続けていくよ!?」と“TREE CLIMBERS”、“マスタッシュ”と、アグレッシヴさと詩情を併せ持ったナンバーが畳み掛けられる。そして最後には「みんなの2013年が、とっても素敵な１年になりますように、という願いを込めて曲を選びました。とびっきりの笑顔を見せてください！」と“Magic Music”！ 《みんなの笑顔がみ・た・いー!!》と叫ぶ声が、こんなにもグッと来るのはなぜなんだろう。「出し切った〜、フラフラだ〜」と言いながら、彼女もまた気持ちの良い笑顔を見せてステージを去っていった。（小池宏和）
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