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新年最初の1時間が過ぎようとしている夜半、MOON STAGEに登場したのは中川翔子! 日本最高峰のライヴ・アクトであるソウル・フラワー・ユニオンが2012年へのカウントダウンを含めぶち上げた後のステージ。普通なら、やりにくいことこの上ないだろうな、と思ってしまうところだが、彼女に限ってはそんな心配などまったくの杞憂だった。
 先立って登場したバック・バンドが奏でるヘヴィなサウンドの中しょこたんがステージに現れ、「あけましておめでとー!」と挨拶をすると、超満員のフロアからほとんど怒号のような歓声が轟く。最初に歌われたのは“続く世界”だ。ボトムがくっきりした音像のオケに対し、しょこたんの澄んだ歌声が強く美しく響く。そんなステージ上に対し、フロアの後方ではメイド服を着た男性を含む集団がヲタ芸を披露している。新年早々、最高の祝祭空間がここに生まれている。
 「ドSなしょこたん見せてやる! 何でもいいから振り回せ!」というMCで始められた2曲目は“TYRANT too young”。スラッシュ・メタル調のブラスト・ビートの中でしょこたんが歌い、タオルを振り回すのだから、盛り上がらないはずがない。フロアの熱狂ぶりに、歌い終えたしょこたんも「おめーらやるな!」と満足した様子だった。そして鉄板の代表曲”空色デイズ”、『けいおん!』のカヴァー曲“Don’t say “lazy””で盛大なクライマックスを迎えると、本日最後の曲は1月11日に発売されるニュー・シングルからタイトル曲の“ホロスコープ”。どこまでも伸びるようなハイトーン・ヴォイスが際立つサビが印象的なポップ・バラードである。ライヴの締めくくりとしてのハマり方も含め、また新たな代表曲が誕生したのではないだろうか。
彼女が音楽フェスにおいて鉄板のアクトであることはもはや常識となりつつあるが、やはり(と言えるのが凄い)今日も天井なしにフロアをアゲ倒したしょこたん。シンガーとしての確かな技術を下敷きに、細かくキャラ設定を行って観客を煽ったり、曲間にヌンチャクを振り回したりといった、オーディエンスへの惜しみないサービス精神をあくまで自然体として振りまく彼女を、好きにならずにいられるはずがない。それは、このMOON STAGEを幸福なムードで完全に満たした観客の笑顔が端的に物語っていたと思う。(長瀬昇)