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ドラムに合わせて身体を揺らし、タンバリンを軽快に叩き始めた佐野元春。始まったのは“星の下 路の上”。開放感に満ちたバンド・サウンドが、フロアを爽やかに揺らした。佐野元春がタンバリンからアコースティックギターへ持ち替えて“Us”。オレンジ色のライトに染まったステージ上から一心に語りかけるように届けられた歌、雄大に広がったバンドのアンサンブル。終盤で一際エネルギッシュなサウンドへと転じる様が圧倒的だった。
骨太なギター・リフとハモンドオルガンが絶妙に融け合いつつ、シャープなロックンロールを奏でた“愛のシステム”。エレキギターのアルペジオと佐野元春の歌のみで幕開け、やがて他の楽器パートも合流。佐野元春 & THE COYOTE BANDが一丸となって放ったエモーショナルなサウンドが素晴らしかった“驚くに値しない”。「どうもありがとう。THE COYOTE BAND!」と佐野元春がバンドを代表して挨拶し“ナポレオンフィッシュと泳ぐ日”。カラッと乾いたビートに誘われ、お客さん達は頭上で手を打ち鳴らしながら踊った。
「年末のロックフェスに呼んでくれて嬉しいです。知っている人がいたら一緒に歌ってください」と佐野元春が我々に語りかけて始まったのは“約束の橋”。ピアノの優しい音色が心地よい。サビで起こったみんなの大合唱が、この曲に素敵な色合いを加えていた。“太陽”をじっくりと聴き入った後、「もう少し踊れる曲いこうか。1980年にこの曲でキャリアを始めました」と佐野元春が語って“アンジェリーナ”へ。お客さん達は大喜びで共に歌いながら飛び跳ねた。そして“アンジェリーナ”はメドレーへと転じていった。「もっと一緒に遊んでくれる?」と佐野元春が呼びかけて始まった歌のかけ合い。ステージとフロアの間でじっくりと歌声が交わされた後、我々はクライマックスへとダイナミックに突き抜けていく。演奏を終えると持っていたギターを高らかに掲げ、「ありがとう!」と一礼した佐野元春。佐野元春もバンドメンバー達も最高に満足そうな笑顔を浮かべていた。(田中大)