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恒例のゴダイゴ“モンキー・マジック”のSE に乗って登場。しかし演奏も始まらないうちから挨拶MCで既に大噴火状態の山口隆。異常な早口で「幕張、準備はいいか! いきますよ、みなさん! お前ら、そんなもんか~? こんばんは、サンボマスターです。俺たち今年最後のステージ、ちょっぴり早い紅白歌合戦いこうじゃないですか。いくぞ! ギャラクシー、宇宙一のライヴ! サンボマスターで“歌声よおこれ”」。そのあまりに性急な魂の叫びは、いつもの事と言えばいつもの事だが、ここ数年の出演の中でも特別に激しいもの。それは当然のこと、福島県出身である山口は2011年という時代の空気を正面から背負っているからで、2曲を歌い終えたところで始まったMCは、正反対とも言える丁寧なものだった。「ふるさとの唄を歌っていいですか? いつか心の底からこの歌を笑って歌えたらいいと思う。君たちは、自分のふるさとを思い浮かべて聴いてください。そして、お互いのふるさとを思う気持ちが繋がった時、それをロックンロールというんじゃないのか」という紹介で披露された、爆発するようなエレクトリック・ヴァージョンの“I love you & I need you ふくしま”の歌声に込められた山口の熱唱には胸をしめつけられる。そして「歌ってくれ!」「いきますよ、みなさん!」「ありがとう~」という言葉にならない叫びの連続は、彼らの音楽に賭ける気持ちの重さがあらためて増大していることを訴えているかのようだった。「今日、俺が歌いに来たのは、あなた方1万人を信じることができる人だと思ったから。テレビでもなくラジオでなくあの政治家でもなく、君たちから希望の匂いがするから。だから……今日……あなた方に出会えてよかった」という語り部のようなMCからそのまま“あの鐘を鳴らすのはあなた”に入っていく図は、彼らの今年のライヴの象徴的な光景だが、今や完全に自分たちの皮膚感覚で演奏していて、今年の彼らの活動を走馬灯のように思い起こさせてくれる。ラストは“できっこないを やらなくちゃ”。「ありがとうございます」「今年も音楽好きでいてくれて本当にありがとうございました」という感謝のメッセージが年末の今、心に響いた。(小池清彦)