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「大変混雑しております。前に詰めてください!」――開演時間が近づくにつれ、スタッフの懸命な声が響く。なにしろ今夜、ここで初めてその実態が明かされるのだ。そう、木下理樹(ART-SCHOOL)と"ひなっち"こと日向秀和(ストレイテナー/Nothing's Carved In Stone)が始動させた新ユニット:killing Boyが、いよいよMOON STAGEに登場! おもむろに木下が右手を上げてSEがストップ。サポート・ドラムの大喜多崇規(Nothing's Carved In Stone)、同じくサポート・ギタリストの伊東真一(HINTO)と共に音を織り重ね、壮大なサウンド・スケープを場内に展開。"Frozen Music"というタイトルどおり、冷ややかな鋭利さと激しさを内包したダンサブルなロック・サウンドがオーディエンスを揺らし、「僕はいない、君がいない!」と木下が声の限りに喪失を叫ぶ。続く"1989"では、ブリブリのひなっちのベースと重戦車のように邁進する大喜多のドラムがMOONの熱量を沸点にまで高め、可憐な伊東のギター・フレーズが印象的な"Perfect Lovers"がフロアをひと際大きく揺らした。

「こんばんは、killing Boyです。人、多いねえ」とフロアを見渡して木下。「あの~、こうやってひなっちとステージに立つの、もう7年ぶりくらい? 最後は『COUNTDOWN JAPAN』だったんだよね(そう、ひなっちのART-SCHOOLのメンバーとしての最後のライブも、7年前のここだったのでした)。またこうやってできて嬉しいです。たぶん、これからみんなサカナクションに流れていくと思うけど、がんばります!(笑)」と、感慨と自虐を交えてMC。そして、"cold blue swan"→"black pussies"と矢継ぎ早に畳み掛け、殺気だったパフォーマンスでオーディエンスを圧倒(ひなっちのチョッパー・ベースが強烈!)。既に完成形にまで磨き上げられた、いずれ劣らぬ楽曲クオリティが僕らに伝えるのは、killing Boyが「本気」のプロジェクトだということだ。

終盤には「しゃべるかい?」と木下に促されて、ひなっちもMC――「あー、どうも! 今回、ホントにこのライブ初だったんですけど、めちゃくちゃ嬉しいですね。ずっと理樹と音楽やりたかったんで。最初はもっとこぢんまりとライブやろうと思ってたんだよね? それが、こんな大舞台を用意していただいて、JAPANの方々、ありがとうございます。そしてこんなに集まってくれてありがとうございます!」。代わって木下、「実際、盤も出来上がってるので、それは徐々に徐々に公開していこうかなと……。最後、ちょっと激しい曲やるんで、激しい人は激しく動いてください(笑)」と、ラストは破壊力抜群の"Confusion"で一気に大バースト! 来年には木下主宰のレーベル<VeryApe Records>から音源もリリースされるそうなので、その動向に要注目だ。(奥村明裕)