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10月にリリースされた最新アルバム『THE GUIDE』のオープニング・トラック"Wait for The Sun"によって幕を開けたSPECIAL OTHERSのステージ。芹澤優真による鍵盤のメランコリックなメロディに、おおっ、とどよめくような歓声が上がる。そして華々しく立ち上がるリズムの中にあって、深みのある心象風景を描き出してゆく柳下武史のギターのメロディ。まるでどこでもない4人だけの独立国家で、新しくも肌に馴染むトラディショナル・ミュージックをたった今、この場で創造してしまうような、そんな唯一無二のロックをEARTH STAGEに響かせるスペアザである。続いてはダビーな又吉優也のベース・プレイに導かれて披露される"PB"だ。ホットなグルーヴの中、ときに繊細に幽玄に、ときに熱狂的に威勢よく、4人の呼吸が一曲の中で大きな抑揚の物語を紡ぎ出している。巨大スクリーンの中でクローズアップされる芹澤の姿に背後から丸い照明が当てられていて、まるで巨大な夕陽が沈む草原で演奏しているみたいだ。そして、宮原良太が優しくシャッフルするドラム・プレイを披露しながらリフレインするコーラスを歌う往年の名曲"Uncle John"。シンプルなフレーズのリフレインだけで、いや、たとえ歌が無くとも、その折り重なるメロディの向こうに確かな歌心を残してゆくのが、彼らのパフォーマンスなのだ。

無数のオーディエンスを相手取って、どこまでもマイペースに展開してゆく、荒ぶることもないがまるでその音には遠赤外線効果が備わっていて、だからいつの間にか心も体もぽかぽかになってしまうんじゃないか、という演奏が続く。"Laurentech"の後には宮原が「どうもありがとうございます。素晴らしい光景ですね。こんなステージで2010年のライブを締めくくることが出来て、幸せです」と語り、芹澤も「来年もどんどんライブをやってくんで、6月4日の日比谷野音には皆さん遊びに来てください」とずいぶん気が早い告知をしてしまっていたが、スペアザの野音、マジで最高です。今からでも楽しみにしていて良いと思います。2010年の総括というより、スペアザの人気曲を厳選して届けられたような今回のステージで、最後に披露されたのは必殺の"AIMS"。イントロ一発で大きな歓声が湧き上がり、華やかな演奏とともにフロアが波打つような一面のジャンプ! ジャンプ! これがこの独立国家のマーチであり、盆歌であり、アンセムだ。今年もたくさんの暖かい時間をありがとうスペアザ。来年もよろしく!(小池宏和)