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大歓声で迎えられたBIGMAMAが最初に放ったのは“走れエロス”。リアド偉武(Dr)のスネアの連打が先陣をきり、スピード感たっぷりのサウンドにすぐさま胸が高鳴っていく。スポーティーに盛り上がることが出来ると同時に、東出真緒(Violin)のヴァイオリンの調べに彩られることによってスタイリッシュな美しさも帯びるBIGMAMAの音楽性は、やはり圧倒的なオリジナリティの塊。金井政人(Vo&G)と柿沼広也(G&Vo)が随所で響かせる歌声のハーモニーにうっとりしつつ、腕を掲げてシンガロングするお客さんが続発した“虹を食べたアイリス”、始まるや否やお客さんが大喜びし、凄まじい手拍子が沸き起こった“the cookie crumbles”を堪能した頃には、場内の温度もかなり上昇しているのを感じた。
「ようこそ! 僕らは今日、カウントダウンのつもりでやりますので、最後まで楽しんでいってください」という金井の挨拶を経て“cpx”。痛快なビートを感じながら踊り、胸にグッとくるあのメロディを噛み締めるという、BIGMAMAによる二重攻撃は堪らなく贅沢な体験。しかも柿沼のギター&東出のヴァイオリンがツインで奏でるソロまで繰り出されたのだから、じっとして聴いていられるお客さんは皆無だったろう。しっかりとした太いビート、強力なスピード感、引用されているクラシックの楽曲“剣の舞”のスリリングなメロディがお客さんを踊らせまくった“ツルギが無い”。甘酸っぱいメロディをじっくりと奏でた“かくれんぼ”を披露したところで、再びMCタイム。「どうにかなっちゃうくらい、すごく良い景色です。今年もこういう景色にすごく救われました。2010年もあと10秒ということで……」と、いきなりカウントダウンを始めた金井。「……5・4・3・2・1・0! 2011年の1曲目です」と宣言して始まったのは“荒狂曲“シンセカイ””。その晴れやかな調べを聴いたら、本当にもう新しい年がやってきたかのような感慨で胸が一杯になってしまった!
その気持ちを引きずりながら聴いた次の曲“Paper-craft”の晴れやかなメロディは、心底気持ちよかった。そして、ラストを飾ったのは“計算高いシンデレラ”。パンク・バンドという枠組を超えた重層的な美しいメロディを奏でまくったBIGMAMAであったが、その感動をさらに増幅したのは、終盤で起こったお客さんの大合唱だ。最高に素晴らしいクライマックスだった。(田中大)