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「立ち上がれー!」というゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo)のシャウトで幕を開けたのは、COUNTDOWN JAPAN初登場となるモーモールルギャバン。まずは“細胞9”でキック・オフ! ゲイリー・ビッチェ&T-マルガリータ(B/Vo)が刻む重厚なビートの上で、ユコ・カティ(Key/Vo/銅鑼)のスペイシーなキーボードが浮遊する。そこにゲイリー・ビッチェのプリミティヴな歌声が重なると、MOON STAGEは異次元に引きずり込まれたような雰囲気に。力強く前進しながらもどこか掴みどころのないグルーヴに、拳を突き上げるよりもユラユラと身体を揺らすオーディエンスの方が多く見受けられる。

しかし、続く“POP!烏龍ハイ”ではユコ・カティのアジテートに合わせてフロア中が「ハイ!」ジャンプ。さらに「♪ウィー・ウィル・ウィー・ウィル・ユキちゃん!」のコール&レスポンスに続いて“ユキちゃん”へ雪崩れ込むと、MOON STAGEはカラフルな音と光が入り混じるダンスホールに。しかし単にキャッチーで踊れるだけでなく、どこか脱臼している空気というか、ネジが数本すっぽ抜けているというか、そんなぶっ壊れた狂気を孕んでいるのがいい。さらに驚くべきは、アグレッシヴにジャンプしたり叫んだりしながらスピーディーにオルガンを奏でるユコ・カティを初めとする3人の卓越した演奏力。粒ぞろいの音で構築された濃厚なグルーヴは、それだけで聴き手の腰を揺らす独特の牽引力を持っている。「汗をかくと風邪ひいちゃうからこの格好がいちばん合理的なんです!」として、ネクタイ&パンティー1枚の出で立ちでフロアを沸かせるゲイリー・ビッチェのパフォーマンスも最高だ。

ラストはユコ・カティがメイン・ヴォーカルを執るラヴソング“サイケな恋人”。しっとりとした旋律の上でお約束の「パンティー!」コールが炸裂するという、どこまでも人を喰った演出でフロアを盛り上げ放題盛り上げて大団円。とめどないエンタテインメント精神が炸裂した愉快すぎる30分は、CDJ初登場とは思えないほど堂々たるものだった。(齋藤美穂)