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GALAXY STAGEもいよいよ折り返し地点。次は安藤裕子が登場。幻想的な音像が空間を包み込む中、鮮やかなブルーの衣装を身に纏って安藤裕子が現れる。そして歌いだしたのは、最新アルバム『JAPANESE POP』に収録されている“私は雨の日の夕暮れみたいだ”。どっぷりと楽曲の世界観に入り込み、全身で表現するように歌う安藤。オーディエンスも、目が離せないとばかりに、じっと見入っている。歌い終えて、飛び交う「ねえやーん!」という熱い歓声に、「お元気ですか?」とニコッと笑顔を見せてはじまったのは“TEXAS”。ステージを悠々と歩みながら、伸びやかな歌声を響かせていく。どちらかというと、「アーティスト」という側面で彼女を見ることが多かったのだけれど、あらためて「シンガー」としての実力も非凡であることを、痛感させられた。あったかいハンドクラップも広がって、フェスならではの祝祭感に満たされていく。MCでは、「自分なりに1年を振り返ると、嫌なことも多かったし、でも、いい出会いもあったし、これがいい分岐点になって、新しい年をむかえられるんじゃないかなって思います。みなさんも曇るような毎日もあると思うんですけど、こういうお祭りとかでいい笑顔になれればいいと思います。怒ったり泣いたり、毎日体感してほしいと思います」と、率直に語りかけ、「どうしても自分のことを好きになれない時に、好きになってやりたいと思った曲があるんで、歌います」と言って披露したのは“Little Babe”。ささやかに、でもずっしりと思いを込めて歌い上げる。その後は、くるりの“ワールズエンド・スーパーノヴァ”のカヴァーを披露! 中盤では、巨大なおたまじゃくしの形をした楽器(かの明和電機が生み出した楽器で、オタマトーンジャンボというらしい。めっちゃ可愛い!)を抱え、ステージを上手に下手に動き回る。音楽の中を自由に泳いでいるようだ。さらに “パラレル”でも自らの世界観を加速させていき、ラストは小沢健二のカヴァー“ぼくらが旅に出る理由”。ハンドクラップの中を、彼女の濃厚な歌声で生まれ変わった楽曲が広がっていく。音楽ってたゆたうようにずっと続いてゆくのだなと、しみじみと嬉しくなった時間だった。(高橋美穂)