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恐らく今日のラインナップの中でも、一際、独自の存在感を放つアクトであるのは間違いないだろう。続いてのアクトは、CDJ初出演となるBUCK-TICK! SEの“THEME OF B-T”が流れ出し、じっとオーディエンスがステージを見守る中、まずは楽器陣の4人が登場。樋口豊(B)はセンターで思い切り手を振って盛り上げる。そして、悠々と手を挙げながら、紳士のような帽子を被った櫻井敦司(Vo)が現れ、ダンサブルな“独壇場Beauty”からスタート。さっそく今井寿(G)はステージ下手で、腰を揺らしながらギターを弾きまくる。序盤から手を挙げたり踊ったりして、オーディエンスも彼らのステージングに応えている。ここで、櫻井が帽子を脱いで、“RAZZLE DAZZLE”に突入。歌い終えて、「あんまり時間もないので、盛り上がっていきましょう」と櫻井が笑顔を見せ、“Django!!! -眩惑のジャンゴ-”へ。これ、確かに踊れるパーティ・チューンではあるのだが、リリースされたばかりの最新アルバム『RAZZLE DAZZLE』の中でも、最もパンチのある楽曲でもある。曲間の「ビビデ、バビデ、フゥー!」という櫻井のシャウトからも、それは伝わるはず。あくまでテンション高く、あくまで自分たちらしく、オーディエンスを巻き込んでいく。そして、冒頭から今井がカメラに向かって指揮のように茶目っ気たっぷりな動きを見せたのは“羽虫のように”。淡々としたビートと切ない歌声が、心地よい化学変化を生み出している。さらに、櫻井の「じゃあ飛ばしていきますよ」という一喝から、今井のじらすようなギターを挟んで、櫻井が拡声器を持ち出すと……キた、名曲“ICONOCLASM”! 「今日は集まってくれてほんっとにありがとう、もう行かなきゃ」と櫻井らしい別れの言葉から、ラスト・ナンバーのイントロが聴こえ、歓声があがる……“スピード”だ! それにしても、最後の2曲は、20年近く前のナンバーなのに、当時と変わらず刺激的なまま響いてくるのが凄い。それはきっと、彼らが止まらずに、ステージに立ち続けているからだと思う。また、だからこそ、前半の4曲に『RAZZLE DAZZLE』の収録曲を固めて、今の自分たちを堂々と魅せつけることもできるのだと思う。初見のオーディエンスにも、大きなインパクトを与えたことだろう。(高橋美穂)