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2年ぶりにCOUNTDOWN JAPANのステージに戻ってきた佐野元春。今年、一緒に精力的にツアーを回ってきたTHE COYOTE BANDとの出演になるのだが、このバンドが実に素晴らしい。全員、しっかりとしたキャリアを持つミュージシャンなので当然なのだが、ロックンロールの持つシンプルな高揚感、それを本当に風通しよく鳴らしてくれる。そして、観ていて嬉しくなってくるのは、佐野元春自身がそれを一番楽しんでいるのが伝わってくるからだ。オープニングを飾った“星の下 道の上”、自然とハンドクラップが沸き起こった“君が気高い孤独なら”に続いて、3曲目の“ヒナギク月に照らされて”からは自身もアコースティック・ギターを手に取る。ギター、ドラム、鍵盤、ベース、ステージ上のすべての楽器が、ロックンロールの豊穣な魅力を鳴らすために一つになる。しっかりとドライヴしているが、力任せではない。ちょっとやそっとの年期では鳴らすことのできないロックンロールである。そこに、あの佐野元春の言葉が絡む。“裸の瞳”ではハープも演奏し、続く“夜空の果てまで”は、佐野元春のアコギによるシャープなリフが楽曲を牽引していく。最後は、“世界は誰の為に”から名曲“アンジェリーナ”へ。「ロックンロールは世代を超える。それを証明するよ」と言って始まった「I Love You!」「You Love Me!」のコール&レスポンスは、ロックンロールの持つ変わらぬ豊かさを率直に物語っていた。(古川琢也)