フェニックス、YouTubeでの「踊ってみた」動画をめぐる訴訟について声明を発表

フェニックス、YouTubeでの「踊ってみた」動画をめぐる訴訟について声明を発表

フェニックスは2009年作品『ウルフガング・アマデウス・フェニックス』収録の楽曲“Lisztomania”がユーチューブでの投稿ネタになっていることについて、著作権法違反に訴えるつもりはないことをブログで表明している。

バンドがわざわざ表明しなくてはならなくなったのは、“Lisztomania”関連の動画をめぐって訴訟を起こされていたからで、ハーバード大学教授の授業が問題になったという。教授は『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』『コモンズ―ネット上の所有権強化は技術革新を殺す』などの著書で知られるローレンス・レッシグで、著作権所有者自ら著作権の共有を打ち出すクリエイティヴ・コモンズ運動を発起したことでも知られている。そんなローレンス・レッシグがフェニックスの“Lisztomania”を教材にした授業の動画が問題になったという。授業でレッシグ教授は“Lisztomania”の音源に合わせてユーザーがダンスを披露して投稿する、いわゆる「踊ってみた動画」をいくつも取り上げ、これを著作権法上の公平な音源の使用例として解説していて、この授業の様子の動画もまたユーチューブに投稿されていた。

しかし、“Lisztomania”のリリースをオーストラリアとニュージーランドで手がけているリバレーション・ミュージックはレッシグ教授の授業の動画の削除を要請し、レッシグへの訴訟もちらつかせたところ、レッシグが逆にリバレーションを著作権法の誤用を理由に訴訟を起こすことになった。その後、レッシグとリバレーションはリバレーションが間違いを認め、法定費用を負担することで和解に落ち着いたと『ビルボード』誌が伝えている。

これに関してフェニックスは全面的にレッシグを支持するコメントを次のように発表している。
「僕たちは僕たちの音楽の公平な使用を支持しています!

僕たちは『オープン』というタイトルのローレンス・レッシグ教授の授業の動画がユーチューブから何の検討もなしに、僕たちの著作権に抵触しているとして削除されたことについておかしいと思っていたんだ。

この授業は著作権の公平な使用について解説するもので、その実例として僕たちの曲である“Lisztomania”を使ってファンが自分たちで制作した動画を題材にしていたんだ。

僕たちは教育的な目的で自分たちの音源が使われることについて歓迎しているだけでなく、僕たちの曲からインスピレーションを受けて自分たちのヴァージョンの曲や動画を制作してネットで公開してもらうことも一向に構わないと思っているんだ。

デジタル時代の素晴らしいところは、自主的なクリエイティヴィティを解放するところで、それは時には自由に触れ合う場が混乱を極める事態も招いたりもするけど、デジタル派生作品という現代の経験はとてつもなく解放的なものだと思うんだよ。

僕たちはこうしたことをされて何かを奪われたような気分にはならないよ。むしろ、引用や文脈の読み直しというようなことはずっと行われてきていることだけど、インターネットの遍在性によって、より簡単に、そしてよりわかりやすくなっただけのものなんだ。

とどのつまり:僕たちは僕たちの音源の公平な使用を支持するということだよ。

そして、僕たちとしては、クリエイターの合法的な利益を守ると同時に、著作権の公平な使用をも認める新しい著作権についての考え方の普及を願ってやまないんだ」
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