プッシー・ライオット、釈放された2人がもはやメンバーではないとする声明を発表

プッシー・ライオット、釈放された2人がもはやメンバーではないとする声明を発表

昨年末に釈放されて以来、人権擁護に従事したいと発言してきたプッシー・ライオットのナジェージダ(ナージャ)・トロコンニコワとマリア(マーシャ)・アリョーヒナだが、プッシー・ライオット側から二人はグループのメンバーではないことが明らかにされている。

ナージャとマーシャは2月5日に世界各地の政治犯の釈放を要求するなどの人権活動を行っているアムネスティ・インターナショナルがニューヨークで16年ぶりに開催したチャリティ・ライヴに出席し、ステージでスピーチを行ったが、しかし、その数時間前にプッシー・ライオットは二人の脱退を宣言する公開書簡をグループのサイトで明らかにしていたという。

書簡は「わたしたちはマーシャとナージャの釈放をとても喜んでいます。二人に課せられた過酷な試練を乗り越えて二人が見せた抵抗、収容所に収監されている間に取りかかった闘争をなんとしてでも継続しようとした献身的な姿勢についても誇りに思っています」と切り出しているが、次のように問題点を指摘している。

「しかし、わたしたちにとって残念なのは、二人がロシアの刑務所の問題にすっかり捉われてしまって、わたしたちのグループとしての本来の目標や理想をすっかり忘れてしまったことです。つまり、結果として二人への不当な刑罰の原因ともなった、フェミニズム、分離主義的抵抗、権威主義と個人崇拝との闘争などといったわたしたちの活動についてです」

また、書簡はマーシャとナージャがプッシー・ライオットとの連絡を拒否し続けている(そのため、もはやメンバーとは言えない)と指摘し、それでもなおメディアが常に二人をプッシー・ライオットのメンバーとして触れることへの不満を表明し、こうした「無理解の極まった」一例を次のように指摘している。

「なによりも今回のアムネスティ・インターナショナルのポスターは目出し帽を被った男がギターを持って立っている姿を図案にしていて、ここにプッシー・ライオットの名前を入れていて、こうやって主催者は狡猾に人々に高価なチケットを購入するように呼びかけています。こうしたことはすべて組織としてのプッシー・ライオットの原理原則に矛盾しています。わたしたちは女性だけによる分離主義的団体であって、ポスターにおいても現実局面においても、男性によって代弁されることはありえません。わたしたちは左翼的な反資本主義的イデオロギーを標榜しているゆえ、わたしたちのアートや作品を観る者に対して課金することはないし、ビデオはすべてウェブ上にて無料で配信されていて、わたしたちのパフォーマンスの観客は常に現場を自然と通りすがった人たちのみで、わたしたちは決して自分たちの『ショー』を観るためのチケットを売るような行為はしません。

わたしたちのパフォーマンスは常に非合法であり、伝統的なエンタテイメントを観せるようなセッティングにはなっていない、予期できないロケーションや公共の場所などで行われるものです。わたしたちのクリップは常に無料で規制のかからないメディア・チャンネルを通して公開されています。わたしたちが匿名で活動しているのは、あらゆる形の個人崇拝に反対する活動をしているからで、容姿や年齢など視覚的な社会的属性が暗示するヒエラルキーを糾弾しているからです。わたしたちが顔を隠しているのは女性の顔を商品やサービスを売るための商標として利用しようという発想そのものに異議を表明しているからです。

反逆的なフェミニスト・パンクというイメージと服役囚の人権を制度的に守ろうとするイメージが混ざってしまうことは、わたしたちという集団にとってデメリットになるだけでなく、ナージャとマーシャの新しい役割にとってもデメリットになることです」

ただ、書簡はナージャとマーシャへの感謝を表明し、二人のこれからの新しい活動への応援を惜しまないことも明らかにしている。

「確かにわたしたちは二人の友人を、そしてイデオロギーを共有する同志を二人失うことになりました。しかし、世界は勇敢で、関心を引きながら話題をふりまく人権擁護活動家を獲得したのです。わたしたちは二人の選択を尊重しますし、新しい活動での活躍を心から願っています」

声明の原文はこちらから。
http://pussy-riot.livejournal.com/34528.html
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする