レーベル側、違法サイトをめぐってグーグルへの批判を強めるがいまだに論議は平行線

レーベル側、違法サイトをめぐってグーグルへの批判を強めるがいまだに論議は平行線

ここにきて国際レコード産業連盟(IFPI)と全米レコード産業協会(RIAA)がグーグルへの批判を強めている。

批判の対象となっているのは、グーグルの検索で違法ダウンロード・サイトがランキング上位に入らないように措置を講ずるとグーグル側で約束していたのに、いっこうにこの措置が行われていないということ。IFPIとRIAAは「改善計画5案」なるものをグーグルに突きつけるなど強硬度を強めているが、ここにきて態度が強硬化したのはグーグルへの著作権違反通告が1億件を超えたことがきっかけとなっていて、IFPIとRIAAでは相当に業を煮やしていると『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。

こうした事態にRIAAはグーグルが1億件の通告を受けているということは、アーティストが印税を受け取る機会を1億回逃したことに等しく、またiTunes、アマゾン、スポティファイなど配信業者やストリーミング・サービスの取引の機会も1億回見失われたことに等しいとしていて、そうした状況においてもなおグーグルは違法サイトへとユーザーを誘導していると批判している。また、IFPIやイギリスレコード産業協会(BPI)も同様の批判を繰り広げている。

特にレコード業界側の不満となっているのは、2012年の時点でグーグルは検索ランキングの上位に違法サイトが掲載されないように努めると宣言しておきながらいっこうにそれが改善されないことで、アーティスト名とmp3を入力して検索をかけるといまだに違法サイトがトップにいくつも羅列されるとクレームをつけている。また、度重なる通告を受けているサイトに対してなんらペナルティが行われていないこともRIAAやIFPIでは問題視している。

その一方でグーグルは傘下企業であるユーチューブなどで著作権保護が積極的に行われていると抗弁していて、著作権法違反投稿に対しては投稿者の了承を得て広告を動画にカップリングさせ、その広告収入の一部を著作権所有者に回すなどの措置を講じているなど、独自のオペレーションを説明している。さらにグーグルではグーグルの広告が違反サイトとリンクされないように徹底化していることも主張していて、また、検索結果から通告のあった違反サイトを削除する作業はかつてない規模で進めているとも反論している。

ただ、いくら削除したところで、レコード業界側が主張するようにアーティスト名とmp3と入力して検索をかければ、まだ通告が出されていない違反サイトがいくらでも上位に上がってきてしまうのは当然だとしていて、そもそも通常のユーザーはアーティスト名や楽曲名と「mp3」を同時に入力して検索をかけることなどほとんどないともグーグル側は反論している。したがって一般ユーザーを違反サイトに誘導しているというのは言い掛かりだと指摘していて、大手検索エンジンをすべて合わせても、検索エンジンから違反サイトへの流れは違反サイトへのアクセス全体の中でも16パーセントに過ぎないとも説明している。

これに対してRIAAとIFPIはさらなる改善点5点要求しているが、しかし、いまだに一部の音楽ストリーミング・サイトの合法性の定義なども曖昧なままであるため、その徹底化は難しいだろうと『ザ・ガーディアン』紙は指摘していて、両者の対立はまだまだ続きそうだと解説している。
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