ビートルズのアメリカ初ライヴ映像作品をめぐって映画会社とソニーが訴訟

ビートルズのアメリカ初ライヴ映像作品をめぐって映画会社とソニーが訴訟

ザ・ビートルズが初めてアメリカで行ったライヴの映像をめぐる訴訟で、訴えられている音楽版権管理会社のソニー/ATVミュージック・パブリッシングは訴訟は棄却されるべきだと反論していることが明らかになっている。

訴訟を起こしたのは1964年2月11日にワシントンで行われたこのライヴの映像を所有しているエース・アーツで、ソニー/ATVとビートルズの作品の権利関係を管理しているアップル・コープスと著作権管理会社を訴えている。訴えではエース・アーツはもともとこの映像を『The Beatles: The Lost Concert』という作品として、昨年の5月公開に向けて動いていたが、土壇場でソニー/ATVとアップル・コープスの妨害に遭ったため、映画館500軒も押さえて準備していた公開も中止となり大損害を被ったとしている。

エース・アーツの主張ではもともとソニー/ATVは『The Beatles: The Lost Concert』の映像と音源をシンクロさせるにあたってライセンスを出す作業に当たっていたという。公開するにあたって映像で使われる音源の著作権管理者の認可が必要なためだが、ソニー/ATVは土壇場で許認可を突然断ってきたとエース・アーツは説明していて、それはイギリスで同じ映像の作品化を考えていたアップルがソニー/ATVに圧力をかけてきたからだとエース・アーツは訴状で訴えている。なお、ビートルズの映像はビートルズに著作権があるとして、アップルは所有権を主張しているが、エース・アーツはこのビートルズのアメリカ初のライヴ映像はもともと著作権表記なしに世に出されたもので、そのまま転売が繰り返されているのですでに著作権は消滅した映像となっていると主張している。

こうした流れを受けてソニー/ATVは、現在イギリスでもこの映像の著作権をめぐって係争が闘われているので、まずはイギリスでの裁判の行方を見極める必要があるのではないかとしている。さらに、昨年の公開見送りにしても「イギリスでの裁判所令による映像の公開差止めに倣ってアメリカでも合法的に公開差止めとなったもので、しかもエース・アーツの社主クリストファー・ハントもこれに同意し、その結果、アメリカでのドキュメンタリー作品公開は見送られる」ことになったと説明し、そうであるからにはそもそもこのエース・アーツによる訴えそのものが無効であるので棄却すべきだと反論している。

その一方でエース・アーツはソニー/ATVとアップルの妨害行為は著作権侵害、不法な妨害行為、不正競争のほか、独占禁止法違反にもなると訴えていて、次のように昨年の公開中止の経緯を説明している。

「2012年の4月というぎりぎりの土壇場でソニー/ATVはアップル・コープスに説得され、ともに共謀し、主催者や劇場経営者、さらに映画配給業者らに対してエース・アーツがこのドキュメンタリー作品に対して所有している正当な法的権利が有効でないと触れ回り、根拠のない訴訟へとイギリスにおいて打って出ると脅しをかけることによって、エース・アーツが用意していた配給契約を、悪意をもって妨害しました」

なお、アップル・コープスでも『The Beatles Live!』というドキュメンタリーの製作を進めていて、その中で1964年2月11日のライヴを取り上げる予定になっているという。ビートルズは64年2月にアメリカを初めて訪れたが、この時は『エド・サリバン・ショー』などアメリカのテレビに出演するのが目的で、この時の滞在ではライヴは2月11日のワシントン公演しか行われなかった。

昨年4月の時点での『The Beatles: The Lost Concert』の予告編はこちらから。

なお、ビートルズはアメリカ編集盤のアルバムを集めたボックスセット『THE U.S. BOX』を1月22日(水)にリリースする。
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