2013年はイギリスで30年ぶりにミリオンセールスのアルバムがなしとの見込み

2013年はイギリスで30年ぶりにミリオンセールスのアルバムがなしとの見込み

イギリスの音楽業界は2013年を百万単位のセールスを誇るミリオンセラーを輩出することなしに終わりそうだとの観測が強くなっている。30年ぶりの事態だとのことで、原因として大ヒット作となる作品が不在だったこと、さらにスポティファイなどのストリーミング・サービスの普及がレコードのセールスに影響したことが考えられると『ザ・ガーディアン』紙が伝えている。

これまでのところ最大のセールスを誇っているのはエミリー・サンデーのファースト・アルバム『Our Version of Events』で60万枚という数字になっているが、実はこれは昨年の作品で、昨年も唯一のミリオンセラーとなったアルバムだった。これまでミリオンセラーを輩出しなかった年は30年前にCDに移行する以前の時代以来のことだと『ミュージック・ウィーク』誌では伝えているが、ある音楽業界の幹部は次のように『ザ・ガーディアン』紙に対して説明しているという。

「ブレイクするだけのアルバムが今年はなかったということです。レディー・ガガは遅い時期に出ましたし、ロビー・ウィリアムズのリリースも同じように今年数字を出すには遅かったですね。ダフト・パンクはフックとなるヒット・シングルが1曲("ゲット・ラッキー")で終わってしまったし、デヴィッド・ボウイについてはメディアは大興奮するけど、一般大衆はそうでもないというものなんですね。そんなことが全部重なっちゃうような年もたまにはあるんですよ」

ただ、この事態をアルバム・フォーマットの衰退と呼ぶにはまだ早計だとのことで、前年比ではおそらくやや減少という数字が出ると見込まれていて、デジタル・セールスに関しては9パーセントから10パーセント増も見込まれている。さらに『Now』シリーズなどのコンピレーションのセールスは伸びているという。別の幹部は次のように語っている。

「明解な答えはありませんが、アルバム・マーケットの底が抜け始めているということではないのは確かです。むしろストリーミングに流れている部分もあって、そっちの数字がきちんと反映されていないということもあるんですよね」

イギリスレコード産業協会(BPI)の広報もストリーミングがシェアを伸ばしているのにそちらの売上がまだ反映されるようになっていないと指摘していて、2013年の実際の業績については見込みは明るいものだと説明している。さらにスーザン・ボイルやワン・ダイレクションなどのリリースも来週に控えているだけに、クリスマス・シーズンも好調に終わるはずだとBPI広報は語っている。

「通常だったら、年の初めに話題のアルバムが出てそこからセールスを伸ばしていくもので、最近ではアデルやエミリー・サンデーがその典型だったと思うのですが、そういうパターンが今年は違っていたんですね。しかも、かなりメジャーなリリースがクリスマス前まで持ち越されたわけですから、2013年全体の業績の見込みは明るいですよ」
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする