ザ・1975のマット・ヒーリー、バンドが成功してからの両親の離婚について語る

ザ・1975のマット・ヒーリー、バンドが成功してからの両親の離婚について語る

現在アメリカ・ツアー中で、来週から精力的なヨーロッパ・ツアーに乗り出すザ・1975だが、マット・ヒーリーは自身がかつてジャンキーだったことや自身が抱える生きづらさの遠因を明らかにしている。

『ザ・ガーディアン』紙の取材を受けたマットは取材中にかつて自分がジャンキーだったと口を滑らせ、そこを問い質されると次のように説明している。

「ヘロイン中毒とかじゃないよ。ぼくはヘロインでハイになったことはないから。でも、コカインはかなりひどい中毒になったんだ。18歳の頃のことで、なんにでも手を出してたんだよね。要するにジャック・ケルアックになりたかったわけ。ああいう人たちと同等に自分は頽廃的なんだと思い込んでたんだよ。そして、いずれ世の中が自分に追いついてくるはずだとね。そう思うようになったきっかけとして何があったかというと、こんなことがあったんだよね。つまり、今でも思い出せるんだけど、テレビを観てて、確か6歳くらいだったと思うんだけど、当時のうちの親父の友達というのがみんなガテン系な感じだったんだ。それでぼくがマイケル・ジャクソンのビデオを観ていると、親父が家に連れて来てた友達も全員一緒にぼくの背後でそれを観てたんだよ。それを観ながら大人たちは、マイケルがいかに気味が悪いかとか、まったく繋がりようがないとか、好き勝手な意見をずっと言ってたわけだよ。それを聞きながら、僕はずっと、『でも、僕はあんたたちなんかより全然マイケルに近いんだ』って考えてたんだよね」

なお、記事の中でマットは自分は80年代の音楽から最大の影響を受けていると語っていて、自分が一番好きなレコードとしてマイケル・ジャクソンの『バッド』、ピーター・ガブリエルの『So』、フィル・コリンズの『夜の囁き』だと語っている。

その一方で、両親ともに著名な俳優であるという有名人の家庭で育ったことは現在の自分にどれだけの影響を与えているかという問いにマットは次のように答えている。

「生まれ育ちから、確かに僕はクリエイティヴな環境にはあったよ。でも、思い出してほしいのは、僕の両親は僕が17歳になるまでは『ルース・ウィメン』(母親のデニス・ウェルチが長年コメンテーターを務めていた昼のトーク・ショー)など諸々を含めて、全然知られていなかったということなんだよ。僕は両親が有名になった頃にはもうパンク・バンドを始めてたわけだから。だから、ああいう環境で育つと、とりあえず親のようにだけはなりたくないと思う不思議な構造があるわけで、それもやっぱり個として育ってるからなんだね。でも、それはまた自分を表現するということが当たり前となっている環境で育つことでもあるから、それはいいことだと思うんだ。クリエイティヴィティというのは人間の脳の一つの働きかと僕は思うんだけど、自分を表現していいんだという環境で育ってると、クリエイティヴィティはいつの間にか自分の性格の一つとなってくるんだよ。

でも、バンドが成功すると、それと同時にうちの家庭も崩壊したんだ。両親が離婚したんだよね。まあ、それでよかったんだと思うけど。というのも、いい結婚が離婚という形で終わるわけがないからね。二人の人間が本当に仲睦まじかったのに、それでも離婚しなきゃならなくなったとしたら、それは本当に悲しいことだと思うよ。でも、そんなことはね、この世の中で起きたことないんだよ。そういうことなんだよ。だから、起こるべくして起きたことなんだよね。去年の12月に僕はツアーに出て、その時両親は実家を売り払ったんだ。それで自分のものを全部持ち出すんで僕も2日ほど実家に帰ったんだけど、アルバムの最後の曲の"イズ・ゼア・サムバディ・フー・キャン・ウォッチ・ユー"はその時のことを書いてレコーディングした曲なんだよ。そうやって実家を出て行って、それ以来、僕は実家というところに帰ったことがないんだ。でも、もうすっかり今の状況は受け入れてるよ。それはね、嫌なこともあるけど、必ずいいこともあるからだよ。確かに僕にはもう家はないけど、でも、僕がどんな街にいたとしても、何千人という人たちが僕を観に来てくれるわけだよね。そんな場が自分の家のように感じられないで、どこを家と呼べばいいんだっていうね」

また、マットは自分がザ・1975に求めているものは自分でもうまく定義できないようなものだと次のように説明している。
「ぼくの中には確実に穴がぽっかり空いていると思うんだ。それはほとんど、ささやかな死といってもいいようなものなんだよ。僕はこれまでいつも具体的な刺激が必要だった。それは自分自身の声を聴くというようなことでもあったし、あるいは女子や男子といちゃつくことでもあったんだ。ぼくは別にバイではないんだけどね、でもさ、誰かに好かれてるとわかったその瞬間の、その気持ちっていうのはこの世で最高のものだからさ。その気持ちをなんとかして瓶詰にしたいわけだよ……」
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