プッシー・ライオットのナージャ、収監先の刑務所から移送されその後行方が不明

プッシー・ライオットのナージャ、収監先の刑務所から移送されその後行方が不明

昨年2月にロシアのモスクワで行った反プーチン・パフォーマンスを騒乱罪として問われ、現在投獄中のパンク・ユニット、プッシー・ライオットのナデズダ(ナージャ)・トロコニコヴァの収監先がわからなくなっているという。

ナージャの家族によれば、ほぼ10日前にナージャは収監されていたモルドヴィアの刑務所から別の刑務所へ移送されたまま行方がわからなくなっているとのことで、ナージャの父と夫は居場所がわかっていたのは10月21日が最後のことだったと明らかにしているとエンタテイメイント・サイトの「バズフィード」が伝えている。父親のアンドレイは「誰もなにも知らないんだ。娘がまだ生きているという証拠もないし、健康状態についてもどうなっているのかわからないんだ。病気なのか? それとも拷問でも受けたのか?」とコメントしている。

その一方で夫のピョートル・ベルジロフは「わたしたちとしてはおそらく都市部にナージャを移して身柄を隠しているのだと思います」と語っている。
「一連の(ナージャの)抗議活動に当局も手を煩わせたということでしょう。ナージャをさらに罰するにはこれが一番だと思ったんですよ。『だったら、外の世界から一切遮ってやる』ということですよね」

ナージャは刑務所で非人間的な労働条件を強いられていることへの抗議表明としてハンガー・ストライキを決行していたが、9日間経ってその中断を表明していて、『NME』に対して次のように声明を発表していた。

「わたしはハンガー・ストライキを断念したわけではありません。健康状態が非常に悪くなり、弊害が現れ始めたので一時的に中断することにしただけです」

ストライキを行っていた当初、ロシア当局はナージャに対して行われていたという不当な抑圧行為について調査することを拒否し、その後モルドヴィア当局は調査委員会が違法行為などはなにも見つけられなかったと発表している。

ただ、ナージャが発表した公開書簡ではナージャは刑務所のクプリヤノフ中佐に自分やほかの服役囚に8時間の睡眠時間を保証してほしいと要求した後、脅しにあっていたことを明らかにしている。ナージャは次のように綴っていた。

「わたしたちは1日の就業時間を16時間から12時間に減らすことを話し合っていたのです。すると彼は『よろしい。では月曜から就労隊は1度に8時間だけ労働するということにします』と言いました。わたしにはすぐにこれが罠だとわかりました。というのは、1日8時間の労働では、増加された生産目標を達成することが物理的に無理だからです。ということは、就労隊は時間が間に合わず、その結果、罰則の対象になるということです。『その原因がきみだったということが知れた時、きみは2度と文句などというものは口にしなくなるだろうよ』と中佐は言いました。『それにあの世に行ったら、もう文句のつけようがないだろうからね』」

プッシー・ライオットの3人のメンバー、マリア(マーシャ)・アレキナ、ナージャとエカテリーナ・サムチェヴィッチは現プーチン大統領政権への反対デモを昨年2月にパンク・ロック・ライヴとして断行し、ロシア正教会のプーチン支持への抗議としてモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行った後逮捕された。3人は昨年8月に宗教的憎悪による騒乱罪に問われ、2年の禁固刑という実刑判決を受けたが、判決に対して控訴を起こし、エカテリーナだけ無罪放免となっている。

ナージャは刑が確定してからモスクワからモルドヴィアの刑務所へ移送されていたが、『NME』ではその後、ロシア連邦チュヴァシ共和国のアラタイルの刑務所にナージャの「身の安全のため」移送されたと伝えている。

(c) NME.COM / IPC Media 2013
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする