ピーター・フック、今のニュー・オーダーを「New Odor(悪臭)」と語る

ピーター・フック、今のニュー・オーダーを「New Odor(悪臭)」と語る

現在自身のユニット、ザ・ライトを率いてニュー・オーダーのアルバム全曲ライヴを展開しているピーター・フックだが、アメリカ・ツアーを9月から控えて『ビルボード』誌のインタヴューに答えている。

ピーターは2007年にニュー・オーダーを脱退し、09年になるとバーナード・サムナーがニュー・オーダーとして活動を続ける意思がないことを明らかにして、実質的にバンドは解散となった。しかし、ピーターが10年からジョイ・ディヴィジョン作品の全曲ライヴ・シリーズを展開して好評を博すと、バーナードらも11年にバーナード、スティーヴン・モリス、ジリアン・ギルバートのオリジナル・ラインナップにバーナードの別プロジェクト、バッド・ルーテナントのフィル・カニンガムを加えてニュー・オーダーを再結成させている。その後、ピーターは「ニュー・オーダー」というバンド名の使用権をめぐって訴訟を起こしているが、そのことを次のように解説している。

「連中は恥知らずにも2011年に俺になんの断りもなく、バンド名を名乗っていいかと俺に訊くこともなく再結成したんだよ。連中は自分たちの身内だけで了解を取っただけで、これに俺は強く異議を唱えるし、法的にこれについては解決をみたいんだ。これじゃまるで女房が亭主に何の了解も取ることなしに離婚調停を勝手に決めちゃったようなもんで、亭主はこれでは不公平だと思っているというわけだよ。でも、そんなことはお構いなしに連中は活動を再開しちゃって、しかも、ファンにはオリジナル・ラインナップとは違うんだと告知することさえしてなくて、俺としてはそれは酷すぎるんじゃないかと思うんだ。おかげで、俺はいつもいつも『ニュー・オーダーを観に行ったのに、あなたがいませんでした』っていうメッセージを受け取ることになってるんだよ」

また、自分たちのライヴでニュー・オーダー作品を演奏することについては次のように語っている。
「(ニュー・オーダーの)楽曲をそれにふさわしい形でまた演奏できるようになってこんな素晴らしいことはないと思うよ。ニュー・オーダーでひとつずっと問題になっていたのは、特にこれはバーナードとスティーヴンの問題なんだけど、二人は昔の作品に遡ることを嫌がる傾向が強かったことなんだ。ある種のセット・リストに落ち着いたら、それを変えるのを嫌がるんだよ。でも、ニュー・オーダーが誇る作品の豊かさを考えると、それは本当に残念なことだったなと俺はずっと思っていたんだよ。そして、現世ヴァージョンといえばいいのかな、つまり今のニュー・オーダーの悲しいところは、曲にふわさしい楽器を使っていないから同じ曲のようには響かないということなんだ。楽曲をちょっと変えてみたいということなのかもしれないけど、俺にはオリジナルよりよくなっているとは思えないんだよ」

なお、現在のツアーでピーターはニュー・オーダーのファーストの『ムーヴメント』とセカンド『権力の美学』の全曲ライヴを展開していて、来年にはサード『ロウ・ライフ』と『ブラザーフッド』のライヴを考えているという。さらにその後の計画については次のように語っている。
「正直言って、(89年の)『テクニーク』までしか予定としては考えてなかったんだけど、でも、こうなってくるとしっかりバンドの運命を辿って(93年の)『リパブリック』や(01年の)『ゲット・レディー』、(05年の)『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』まできっちり全曲ライヴをやらないと片手落ちだな思えてきてね。それが全部終わったら、墓の穴でも掘って死ぬ準備でもするかね! でも、いい曲が本当にたくさんあるから、また演奏できるようになって本当に嬉しいんだよ」

なお、常に音は作っているというピーターはそれでも新作制作の予定は今のところ考えていないと次のように説明している。
「昔のものを演奏するのがあまりにも楽しくて半年とか9か月くらいかけてアルバムを制作する気にはなれないんだ。それとダウンロードとか、今のようにレコードで稼ぎが得られない状況にも自分から関わっていく気持ちになれないんだよ。古い世代のミュージシャンとして今の世の中のあり方には首を傾げてしまうし、今の時代のやり方には関わり合いたくない気分なんだよね」

ちなみに、取材の間、ピーターはバーナードたちのニュー・オーダーについては「New Odor(悪臭)」と口にしていたという。
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