エアロスミスのスティーヴン・タイラーとジョー・ペリー、一昨年の日本ツアーは不安だったと語る

エアロスミスのスティーヴン・タイラーとジョー・ペリー、一昨年の日本ツアーは不安だったと語る

2011年11月から12月にかけて行った日本ツアーの模様を収録したDVD『ロック・フォー・ザ・ライジング・サン』を先月リリースしたエアロスミスだが、スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーは東日本大震災からわずか半年で行われたこのツアーのことや、その後のエアロスミスの展望について『ローリング・ストーン』誌に語っている。

7都市8公演に及んだこの時の日本ツアーについては「放射能については不安はあったよ」とジョーは説明している。「ガイガー・カウンターを持ってって計測してたのは確かだから。結構、怖い体験だったな。アメリカに住んでたらそんなこと考えもしないし、CNNとかでもあまり伝えてないけど、それが日本では現実になってるんだよね」。

一方、スティーヴンは「みんなもライヴに出てきて楽しんでやろうって気分にまだなれてないかなっていう不安もまたあったんだけどね」と語っている。「現地に着いてみると、まだみんなも受けた衝撃を引きずってる感じだったけど、でも、それと同時に景気づけもまた必要な感じもあったんだよ」。

バンドはステージだけでなくオフステージの撮影も敢行し、映像をまとめてみたらかなり手応えのあるドキュメンタリーに出来上がることになって、「元々日本のファンのみんなのために作りたいと思ったんだけど、もっと全然スケールの大きい作品に仕上がったと思うよ」とジョーは語っている。

その後、バンドは新作制作を本格化させ、昨年11月には11年ぶりのオリジナル・アルバムとなった最新作『ミュージック・フロム・アナザー・ダイメンション』をリリースすることになったが、その先立つ数年はバンドが解散の危機、あるいは少なくともスティーヴン脱退の危機を迎えていたことでも知られている。実際のところその辺はどうだったのかをスティーヴンとジョーはそれぞれにつまびらかにしている。

ことの発端は2009年の北アメリカ・ツアーで、スティーヴンがステージから転落して肩を骨折するなど重傷を負ったことで、この後のバンドの活動のフォローの入れ方をめぐってスティーヴンとバンドとの間で相当な温度の違いが出たことが不和の原因となった模様だ。

そもそもバンドはこの09年のツアーを新作ツアーとする予定だったのが、結局それぞれのメンバーの手術や怪我などのため新作制作どころの話ではなくなっていたため、スティーヴンの入院後、バンドとマネジメントは体制の立て直しを焦った模様で、新ヴォーカルの加入を探っているとの噂がスティーヴンの耳に入って激怒を呼ぶことになった。バンドはスティーヴンが治療にいそしむ間、別のヴォーカルを立ててツアーを行おうと考えていたようで、そうやって声をかけられたヴォーカリストからスティーヴンは連絡を受けて閉口したと次のように語っている。

「連中が当たっていたヴォーカリスト連中が俺んところに連絡を入れてきちゃあ『何がどうなってんだよ? おまえが歌ってるような歌なんて俺には無理だっていうのに。なんで連中は俺に白羽の矢を立ててるんだよ?』って言ってきたりするんだよ」

さもなければ、バンドとマネジメントはスツールに腰かけたままライヴをやるようにスティーヴンに促してきたというが、スティーヴンはジョーに「だったらおまえはウクレレでも習得して俺の隣に座ったままでずっとそれを弾いてろ」とこの案をはねつけたとか。

その後、スティーヴンは長年膝を痛めていた影響で鎮静剤の依存症になっていたのをリハビリで治療することになり、さらに新ヴォーカリストを探ろうとしたマネジメントとの契約を打ち切り、スティーヴンだけ別のマネジメントを立てることになったという。

しかし、2010年のイギリスのダウンロード・フェスティヴァルへのヘッドライナー出演からバンドもライヴを再開させ、スティーヴンの去就問題も収まったが、ジョーはすべてが大袈裟に報道されて騒ぎが大きくなってしまったと語っている。

「メディアが話を大きくしちゃったところは多分にあるんだよ。結構、いろんな発言が文脈と関係なく一人歩きしちゃったというのが、大体の構図だよ。バンド内でのやりとりや調整は昔と較べてさして変わっていないんだけど、あの頃バンドが置かれてた状況だとか、スティーヴンが『アメリカン・アイドル』の審査員をやっていつもメディアで注目されることになって、なんかちょっと一気に話が膨らんじゃったんだよ」

なお、8月からの日本ツアーと南米ツアーの先は特にバンドの予定はなく、2014年はオフになるという。ジョーは自伝執筆にいそしむとしている一方で、スティーヴンは自身のソロ制作のほかに、ずっと痛めてきている膝を本格的に今年の年末から来年にかけて治療するとも語っている。その後の展望をスティーヴンは「ジョーと俺がやりたい限りはね……俺たちは演奏がただ好きなだけなんだよ。遠い先に月が地球の植民地にでもなったら、ジョーと俺はきっとそこでラウンジ・バンドでもやってるはずだよ」と語っている。
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