ローリング・ストーンズ、活動再開のためのキースからミックへの謝罪の詳細が明らかに

ローリング・ストーンズ、活動再開のためのキースからミックへの謝罪の詳細が明らかに

5月3日(金)より「50&カウンティング・ツアー」をロサンジェルスから開幕させているザ・ローリング・ストーンズだが、今回の活動50周年ツアーや、昨年の結成50周年ライヴ・シリーズの実現まで紆余曲折があったことはよく知られている。

実際、2012年がストーンズ結成50周年と噂され始めた11年秋口にミック・ジャガーは自身がジョス・ストーン、盟友デイヴ・スチュワート、ダミアン・マーリィ、インドのヒットメイカー、A・R・ラーマンらと組んだプロジェクト、スーパーヘヴィのアルバムを発表し、しばらくの間強引にストーンズの話題をいったん封殺し、その後いよいよ結成50周年記念が取り沙汰され、キース・リチャーズの活動再開を求めるコメントも伝えられると、ミックはストーンズの50周年は祝わないと強引に宣言。やがて結成50周年となる7月には写真集刊行と写真展開催が行われ、ここでようやく取材にも応じたミックとキースは50周年に向けた活動の準備をしていることを初めて匂わせることになった。

その後、昨年末のライヴ・シリーズ開催が決定すると、バンドはリハーサルに入ったことが伝えられつつ、様々な障壁もあったことをミックは折に触れてほのめかしてきたが、ここにきてそうした事情を『ローリング・ストーン』誌に明らかにしている。

実は昨年のロンドン・オリンピック関連イベントへの出演など、相当の依頼を受けていたというストーンズだが、ミックは当初からまだ準備が出来ていなかったと出演を断っていたことを『ローリング・ストーン』誌に語ってきていて、今回もその時の事情を次のように語っている。

「ああいう風に言ったのは、あまりにもオファーが舞い込んできたってこともあって、オリンピックもあったし、他にもいろいろあったんだけど、ああいうふうに言っておくのが一番よかったんだよ……それに本当のことだったからさ。まだやれる態勢に入ってなかったんだ。そういう事実がれっきとしてあるんだから、ぼくとしても断りやすいというか」

特に先のツアー、ザ・ビガー・バン・ツアーの2007年の終盤ではキースは酒の影響で演奏がかなり雑になっていたとの批判もスウェーデンなどの公演地で受けていて、今回はさらにロニー・ウッドのアルコール依存症治療のリハビリ明けというタイミングでもあったため、今回バンドは相当な時間をリハーサルに意識的にかけたとも思われる。しかし、ミックが今回のツアーや活動について最大の懸念としてきたのが2010年から取り沙汰されてきたミックとキースの不仲の原因となってきたキースの自伝『ライフ』の内容で、キースがこの本の中でミックへの不満をあけすけに綴っていたことだった。昨年秋に年末のライヴを予告する段階でキースはミックに謝罪したことを明らかにしていたが、それについてミックは次のように説明している。

「あれが(活動再開の)前提条件だったかって訊きたいんだろ? まあね、キースがぼくを呼びつけて、ああやって言ってくれたのは本当によかったとぼくは思ってるよ。それ以上のことはもう説明したくないんだけど、キースがああ言ってくれたことは本当によかったし、だから、実際のところ、あれが前提条件だったということになるんだろうね。やっぱり、どうしてもね、そういうことはきちんと脇に除けておく必要があって、そのためには触れずにやりすごすわけにはいかないんだよ。でも、その方が楽ちんだし、イギリス人は大抵みんな、やりすごしちゃう傾向が強いんだよね。あんまりそういうのに正面から向き合いたいタイプじゃないんだよ。だから、ちょっとみんなで目をつむっちゃうのも簡単なんだけど、キースとぼくの場合にはああいうやりとりがあったからそれで本当によかったなって思ってるよ」

その一方でキース自身は映画『シャイン・ア・ライト』の公開時には次のようにも語っていた。

「ミックと俺の違いとかあんまり強調したくないんだよね、みんなそれしか言わないから。でも、他の98パーセントのところでは俺たちはいつも同調して、お互いのことをよく知ってて、お互いにどうしたいのかもよくわかってるのに、そういうのは絶対に伝わらないからさ。そういうことは語られないし、伝わらないけど、俺たちがいったん作業を始めるとね、障壁だとか、あるいはもうなんでもいいけど、そういうのが消えてなくなるもんなんだよ」

ただ、キースのソロ・バンドのメンバーであるワディ・ワクテルは、ミックが最初からキースの『ライフ』の内容については出版前から知っていたはずだと次のように語っている。

「本が出る前からキースはミックに本の内容を見せてるんだから。完全にね。だから、ミックは本に書かれてることを最初から全部知ってるんだけど、どうしてもケチをつけなきゃいけないわけなんだよ。キースも言ってからね、『一緒にいたんだぜ、おまえ、俺が見せてやってたのによお』ってね」

それに対してキースはミックの対応にはさほど驚かなかったと語っている。

「さして驚かないよ、ミックがどういうやつかは知ってるからさ。でも、そう思いながらも、俺としてはこういう話をいったん公にしてみたいなと思ってたんだ。だから、ミックにも言ったんだよ、『ここに入れなかった話の方がもっと面白かったんだよ』ってね。『おまえのやったことは、俺もよくわかってるからね。おまえは索引で自分の名前をリストアップして、そこの箇所を読んだだけだろ?』って。『おまえ、ちゃんと俺の文脈は読んでないだろ? 読んでるはずがないよな』ってね。だから、そこでまたやり合いになったよ。でも、端からそうなるもんだと思ってたし。ま、それを俺たちなりのやり方で解決したってことなんだよ」

なお、今回の騒動についてバンドの危機を感じたかどうかについて、キーズは少しも感じなかったし、「活動再開のためのアドレナリン剤だと思った」と語っている。
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