スマッシング・パンプキンズのビリー、全曲再現ライヴを批判

スマッシング・パンプキンズのビリー、全曲再現ライヴを批判 - スマッシング・パンプキンズ『サイアミーズ・ドリーム(デラックス・エディション)』スマッシング・パンプキンズ『サイアミーズ・ドリーム(デラックス・エディション)』

2009年から断続的なリリースとともに制作が続いている44曲プロジェクト『Teargarden by Kaleidyscope』の作品中作品として新作『Oceania』を日本先行で6月13日にリリースするスマッシング・パンプキンズだが、ビリー・コーガンは自身を含めたかつてのオルタナティヴ・ロックとその当事者たちの変節について指摘されると「ぼくはアーティスティックなビジネスをやっているんであって、生き延びていかなきゃならないんだ。人が1993年に、ぼくについてどう思っていたかなんていう戯言に付き合わさせないでくれ」と音楽サイトのスピナーで一蹴している。

また、ここ数年のリリースについてあまり歓迎的ではない、1993年当時のファンからの支持をまた勝ち取ることができると思うかという問いには、そういうファンはすでに抹殺したからできないとビリーは語っている。07年の再結成当時はまだそういうファンも残っていたが、その後の過程ですべて消えてもらったとビリーは説明している。

その一方でビリーは、自分は常にいい活動をしていなければならないし、すごい内容を届けていかないとならないのだが、逆にここ5年すごいことをやってきたのかと問われれば、できなかったとも認めている。しかし、だからといって下手に今のサウンドに迎合することはせず、オーガニックな形ですごいところまで自分たちをまた戻すことになる旅の途上に今はいるのだとビリーは説明している。

また、自分たちの上の世代を比較すると、自分たちの同世代のバンドはCD再発による増収をまったく見込めなかった世代にあたり、多くのバンドが「全曲ライヴ」などをやらざるを得なくなっているのは、そういう経済的な必要からなのだとビリーは語っている。ただ、自分はこの先の自分の音楽的な方向性をあくまでもオーディエンスに聴いてもらいたいので全曲ライヴ的なものは決してやらないと宣言している。

その一例としてウィーザーが1994年当時とまったく同じ服を着て『ウィーザー』と『ピンカートン』の全曲ライヴを繰り広げた昨年のブリンカートン・ツアーについて触れ、「新曲をまったくやろうとしないところが素晴らしいではないか。バンドはぼくたちが当てにしていたものをそっくりそのままやってくれたのだ」というライヴ評を引き合いにだし、「これがこのライヴ評の切り出しだったんだよ。ここに問題がすべて凝縮されているんだ」と説明した。

なお、オリジナル・ラインナップによる再結成については「今自分がいるところに満足してるし、再結成についてはまったく興味がないし、興味があったらとっくにやってるよ。そういうことをぼくがやってしまう恐れはまったくないし、それはそうすることはこのバンドを成り立たせている価値と矛盾するからなんだ」と語っている。その価値とは具体的にはなんでしょうと訊かれてビリーは「新しい音楽を作ることだよ」と答えている。
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